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【中国ドラマ】「唐朝詭事録之西行」”単元版”感想:正反対バディが怪事件に挑む!唐が舞台の怪談風味サスペンス続編

中国ドラマ

YouTube iQIYI系チャンネルにて中国ドラマ「唐朝詭事録之西行」(2024)を”単元版”にて視聴しました。
全40話。
邦題:「唐朝詭事録 第二季-To the West-」
(ビジュアル、その他情報はこちら→百度百科

今年の夏に視聴してどハマりしたドラマ「唐朝詭事録」(2022)の続編にあたるドラマです。
唐を舞台に老練×若者の正反対バディが奇怪な事件を次々解き明かす怪談風味のサスペンスです。

続編はいつ見られるかな〜、今WOWOWで放送してるな〜なんて呑気に構えていたら、そのまた続きの「3」にあたる「唐朝詭事録之長安」がもう配信されるというではありませんか!(11月の話です)
なんだか急に”おちおちしていられない”という気分になり(笑)、「唐朝詭事録之長安」を追いかけると同時に、その前編にあたる本作「唐朝詭事録之西行」をYouTubeでちょくちょく見かける”一案件ごとの編集版”で見てみることにしました(1〜5話までは iQIYIアプリで見ることができました)。

ちょっと時系列が混乱しそうになりましたが、やはり見ておいて良かったです。
このシリーズ、時間経過というのが割ときっちり描かれていて、以前に出てきた人や事柄が後々出てきたりするんです。

そしてやっぱり面白かった!!

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主なキャスト

盧凌風(范陽氏出身。大理寺少卿。元金吾衛中郎将。長槍と横刀を得意とする非常に優れた武芸者。太子の伴読(王室の子弟に付き添って勉強する役目)だった。前作ラストで蘇無名を代理として狄仁傑に弟子入りを果たしている。実は公主の私生児):楊旭文

蘇無名(乾陵丞(皇帝陵の管理・守衛を補助する役職)。狄仁傑の直弟子で優れた推理力を持つ。盧凌風の師兄。検死を得意とするが血を見ると失神してしまう体質。また優れた聴力を持つ):楊志剛

裴喜君(河東氏、前吏部侍郎裴堅の一人娘。絵を描くのが得意で人の口述だけでも似顔絵や情景を描くことができる。盧凌風とは恋人関係):郜思雯

櫻桃(本名は褚樱桃。女侠。蘇無名とは恋人関係):孫雪寧

費鶏師(本名は費英俊。薬王孫思邈の弟子で神医と称される。元は鬼市を住処としていた酒飲みで鶏肉が大好きな奇人):陳創

薛環盧凌風の弟子。元は府の家僕):石悦安鑫

※肩書きは登場時に留めます。盧凌風蘇無名は波乱万丈の人生を送っており、肩書きがしょっちゅう変わります。

※狄仁傑狄公):実在の政治家で宰相まで務めた人物ですが、捜査の神的なキャラクターとしてドラマも何作もあるようなんですよね。私は見たことがないので何も語れないのですが、名前くらいは聞いたことがある、という感じです。
本作では実際には登場しませんが「狄公の弟子」という肩書きは相当なパワーワードです。

本作では公主、太子の名前は出てきませんが、公主は武則天の娘で皇帝李旦(唐睿宗)の妹太平公主を、太子は李隆基(唐玄宗)を想定しているそうです。

私が見た”一案件ごとの編集版”について

正式(?)な名前がわからないので便宜上”単元版”と呼ばせていただきますが、私が見た動画について少し補足説明をさせていただきますと…。

この「唐朝詭事録」シリーズ作品、今のところ一作で8件の事件を描いており、その事件ごと(大体5話程度)の内容を数時間に編集した動画がYouTube上に公開されています。
iQIYIはYouTubeで複数のチャンネルがあり、それぞれから何故か微妙に違う編集がされた動画がいくつも出ており、それらを見たという感じです。

エピソードタイトル(事件名)とその順番はエンディングや百度百科で確認できますので、その順番に視聴しました。編集版のタイトルが必ずしもエピソードのタイトルとは限らないので少々苦戦しましたが、映像の内容から判断することができました。

長くなりましたが、そういう人間が書いている記事ということを一応、前もってお知らせしておきます。
iQIYI会員になればいいんですが、というかいつか入るのかも…とか思いながらも、私は選り好みが激しいし、YouTubeでも結構見れちゃうんですよね…)

印象に残ったところ(概要的なこと)

なんか、欠点が見当たらないんですよね。素直にのめり込めるドラマだと思います。

やっぱり世界観が素晴らしい

私は歴史や美術史に詳しいわけでもなんでもないのですが、画面に映る美術や文化の”精度”が素晴らしくて没入感があるのが、やっぱりこの作品の素晴らしいところだな、というのが第一印象です。
これは前作から変わらないです。

一つ目のエピソード「降魔变」はお寺の大きな仏壁画についてのエピソードですが、この絵も素晴らしくて。一目見て、頭が唐の時代へタイムスリップできるような感覚を味わえました。
衣装や髪型、持ち物などももちろん世界観がひしひしと伝わってくるものなのですが、闇市的な”鬼市”の作り込みや、その当時ならではの職業などの描き方もこの作品の世界観にどっぷり浸れる作りで楽しめました。

各エピソードがそれぞれ濃くて見応えたっぷり!

古装のミステリー・サスペンスは割と好きで機会があれば見る方なのですが、本作、エピソードの作り込みが密で複雑で一本ずつ見応えがありました。
これ、40話の情報量じゃないでしょ、と思ったくらい(笑)(普通のドラマだったら、クライマックスに来そうなエピソードがいきなり始めに来たりとか、本作2つくらいのエピソードで1作ドラマが作れるんじゃないか、というくらいのネタの濃さに感じました)

始まりはごく小規模の殺人事件が、実は遠く離れた大きな組織に絡んでいる大規模なものだったり…みたいなのがある一方で、ワンシュチュエーションの趣があるものもあったり、またその展開の仕方も予想外のものばかりで。
また、単なる欲による事件というだけでなく、複雑な人情、感情が描かれていて、それに各事件の登場人物の人生の描き方も丁寧で、感情移入もしやすく、泣けるエピソードもあったりします。

単純に、よくこれだけバリエーションをつけられるな、と感心してしまうほど。
情報量がすごいので、中弛みなんて言葉は全く無縁です。
1エピソードが終わったら、しばらく余韻に浸りたいくらい(笑)。

”原班人馬”最高!

本作、キャスティングがオリジナルのままずっと制作されていて、そこもすごく良いです。
メインキャラはもちろんのこと、以前登場した事件の人物が後々登場する時もやはり同じ俳優さんで、素直に「あ!あの時の!」とびっくりできるのが、本当に良くて。
また、少年だったキャラが少し成長して登場するのも、リアルな時間経過を感じられてとても良いです。

この同じ顔ぶれ、という点も画面の中の世界観に没入できる大きなポイントだと思います。

アクションシーンもさらにパワーアップ!

探案ものですが、主人公の盧凌風が非常に優れた武芸者であるということもあって、本シリーズはアクションシーンも大きな見所となっています。
演じられた楊旭文さんもインタビューでおっしゃっていましたが、アクションシーンの難易度もさらに上がったそうで(ただ、役の人物も成長するので、それは当然のことだけど、ともおっしゃっていましたが。なるほど)。

武器の扱い方、相手の攻撃を躱(かわ)してその力を反撃に利用する流れ、などアクションの組み立てがとても凝っていて見応えがあります。またアクションシーンでも表情のみならず、武器を使う手元も迫力ある映像で撮っていたりするので、見る方はグッと引き込まれますが、撮る時にはカメラとの兼ね合いなど難易度がとても高いのだとか。

でもまあざっくり盧凌風楊旭文さん)、今回もめっちゃカッコいいですわ!!!

印象に残ったところ(内容について具体的に)

あらすじは書きません(書けません)が、それぞれのエピソードについて具体的に思ったことや感想をつらつら書いてみたいと思います。

「降魔変」

公主の命を受け成佛寺に大きな仏壁画を描く、唐で一番の画師秦孝白が、大勢の人が見守る中、最後の仕上げである瞳をなかなか描き入れないっていう始まりがすごくキャッチーで惹きつけられました。
で、この絵のタイトルが「降魔変」。魔物を調伏する仏を描いた絵です。
この未完成の絵から魔王が抜け出て殺人を犯したかのような事件が起こるというのがこのエピソード。

前述の通り、この絵自体も素晴らしくて(よく知らないけど)唐代にタイムトリップしてしまったかのような気にさせられる説得力があって見入ってしまいました。
また、烏膏(黒っぽい色のリップバーム。香りが非常に良く持ちも良い)の流行など、小道具も時代の雰囲気が出ててすごくいい。どんな匂いなのか気になるわぁ。

ここでまた一つ新しい言葉を覚えました。
丹青”→ここでは”芸術の天賦の才”。眉間に表れるらしい。
画師の話ということもあって、頻繁に出てきました。秦孝白盧凌風には微塵もないとか切り捨てるのが面白かったw 芸術家は気難しいですね。

盧凌風の部下の郭荘も引き続き登場!と思ってたら第一話で退場。結構悲しい。慮凌風が高慢ちきだった頃から変わらず慕っていた弟分的良き理解者だったのに(そして思い出の回想シーンとか流さないで〜泣けてくる)。
長安県の捕手三人衆(長安三大捕手)も続投。こちらは元気に活躍していて嬉しい。

このエピソード、まだ一つ目にも関わらずラストには太子、公主を巻き込んで”クライマックスか?!”というレベルの大騒動のアクションシーンとなりました。
この時の混乱の最中、公衆の面前で咄嗟に公主は慮凌風に「稷児!助けて!」と叫び(慮凌風の孤児だった頃の名前)、また呼ばれた方も「娘!」(母上。母さん?ちょっとニュアンスがわかりませんが母親のことです)と反応してしまい、これが後々慮凌風蘇無名の処遇に大きく響いてしまう、という出来事も起こってしまいました。
で、タイトルの「西行(西へ)」になるって感じでしょうか。

いきなりですが大層大掛かりなアクションシーンを満喫できて、とても楽しめました。
しかし慮凌風って毎作大怪我してる割に、結構すぐに大立ち回りしてて、ほんと、大丈夫かなと思ってしまう(笑)
このエピソード、ネタとしてもとても面白かったです。

日本では、仁王像が踏みしめるはずの餓鬼を仁王像よりも先に作ってしまった為に夜な夜な悪さをするという話を「陰陽師」で読んだことがあるんですが、それを思い出しました。

「仵作之死」

”単元版”では見られませんでしたが、「降魔変」の責任を取って天子が退位し、太子が新天子として即位したようです。これで太子改め新天子vs公主の権力争いの様相が少し変わってきました。

「検屍官の死」というタイトルはシンプルですが、見終わった後、本当に多くの事情が込められた重い言葉だと思いました。

こちらは前作の「黄梅殺」というエピソードで登場した独孤遐叔が無事官職(県令)についたあとの話で胸熱。ちゃんと合格できたんだねぇ(感涙)(ちゃんと同じキャスト(韓承羽さん)なので、素直に「あ!」って驚けるのが本当に良いです)。
そして新任の彼が初めての殺人事件で困ってる時に現れた蘇無名を見て「夢じゃないですよね」と言うのも、ちゃんと前の設定を引き継いでるのが良きです。

墓泥棒を防ぐための仕掛け機能付きの泥人形が、それを商う仵作(検屍官)の独孤羊を刺し殺したかのような事件。
不思議な事件と、独孤遐叔の亡き妻軽紅そっくりな独孤羊の妻春条の登場。狐につままれたような…的な要素が多く、特別な雰囲気を醸し出していました。

最近の古装でも盗墓のエピソードは見かけるようになりましたが、盗墓賊の話は新鮮かもと思ったり。

このエピソードは亡くなった仵作独孤羊役の王茂蕾さん、その母親でやはり同じくベテラン仵作でもある曹慧役の史可さんと独孤羊の妻春条役の奚望さんの三人家族が全部持っていった感があります。
やっぱりお上手ですし、強烈な印象が残りました。

仵作という職業で世間から忌み嫌われたり、重要な職務なのに待遇が非常に悪かったり、でも生まれついて定められた職業を変えることも許されない上に、業界の厳しい掟もあり…こういったものに追い詰められて独孤羊はこの世を去ったという。

これはちょっと泣けるやつでした(すぐ泣く私)。

ベテラン仵作の曹慧が使った白梅餅での検屍、蘇無名は恩師から聞いたことがあるとこのことだけど、わたしは「天賜小仵作」「宮廷恋仕官 ~ただいま殿下と捜査中~」)からw やっぱり本当に資料が残ってる方法なのかしら?

タイトルも、ちょっと現代サスペンスっぽいなと思ったエピソードでした。

「風雪摩家店」

こちらはまたガラリと変わって、雪深い人里離れた宿で起こるワンシュチュエーション的なエピソード。

ある種の密室状態にあった宿でたまたま居合わせた人たちがお互い協力しなければいけない状況に追い込まれる…。
演劇とかコントではこういうネタがよくあるけど、これはそのうえ怪奇事件まで起きてしまいます。

また、いつもは居合わせた場所で事件を解決する側の蘇&慮たちメインキャラが、今回はあとから来た県尉に取り調べを受ける側になってしまうというのも新鮮です。
もちろん罪を犯したわけではないのだけど、死体を隠しているし、説明しても完全には潔白を証明するのは難しい状況のため、いつもと違う緊張感がありました。
また、蘇&慮以外の人の捜査をお手並み拝見といった感も楽しめましたし。

このエピソードでは、慮凌風の武術を甘く見られた喜君の「このニセ県尉は思い上がってる。よおく教えてあげて!」という言葉に、ニヤッと笑って「遵命」(仰せの通りに)と答える慮凌風のやりとりが良くて印象に残っています。
喜君、珍しくぷりぷり怒ってる(そしてこの人を初めて可愛いと思ったかもww)

この話、展開が想像の斜め上に転がっていって面白かった!
またアクションも見どころです。それにしてもこのシリーズ、モンスター多いな(笑)

そしてあのニセ県尉(龍太)、後々出てきそう、とは誰もが期待するところではないでしょうか。

「千重渡」

このシリーズ、船ってシュチュエーションもあるのかとまずは関心(笑)

多くの船が飲み込まれる大きな渦潮みたいなところがあったり、海の怪物が出てきたり、シリーズ中でも目新しいアドベンチャー的スリルがあって面白かったです。

本作は次への繋ぎ的な短いエピソードのようで、ここで出てきた”三本角のサイ”の入れ墨をメンバーに入れさせる組織の話が次の「通天犀」となります。

「通天犀」

「風雪摩家店」の事件の時に仙深県県尉の姜威から慮凌風が預かった摩什大師の舌仏舎利(二分の一)を、もう半分の舌舎利がある寒州慧岸寺に届けに来て、新たな事件に遭遇。

このエピソードの入り口はちょっと不思議な殺人事件だけど、結局のところ、ざっくり言ってしまうと“通天犀”(サイですね。巨大な)という、伝説級の神獣?の話で、中身は古装でよくありそうな悪の組織との戦いに感じました。
まあ、エピソードの本質的なネタは目新しさがないけど、逆に多くのバリエーションを打ち出してくるこの「唐朝詭事録」シリーズ的には目新しい、というかこれもバリエーションの一つというか、とも思ってみたり。
いつもの怪しさ溢れる事件とは結構毛色が違って見えました。ラストだけ、ちょっと不思議なオチの付け方でしたが。

まあ、珍しく悪ぶる慮凌風や、さらには料理までしてしまう慮凌風を見ることができた、という感じですかね?(笑)

このエピソードで妙に印象に残ったのは鍛冶屋の棟梁(木林郎那家威さん)が渋くて格好良かったということ(声も渋い)。そして鍛冶屋さんというのは全員マッチョが基本だなと感心してしまいました。リアルマッチョでお見事。
あと、寒州司法参軍馬蒙陳冠英さん)も一筋縄ではいかないけど、若く有能で男気溢れる武人で良かったです。
本シリーズ、メインキャラだけをやたら素晴らしく描くのではなく、各地に有能な人材がいる、ということもちゃんと描いていて好感が持てます。
馬蒙もまたどこかで再登場してくれないかなぁ(次のエピソードで名前だけ出ましたね)。

「雲鼎酔」

雲鼎県は夜市が認められているところ。唐は夜間外出禁止なのでかなり珍しい地域です。
また雲鼎県は酒造りで栄えているという背景もあって、飲酒がかなり肯定的になっており、夜に大量に飲酒することから役所も昼から業務を開始するという習わしで、お堅い慮凌風的には納得のいかないことだらけの土地。ですが、こここそ県尉として左遷された慮凌風の新たな赴任先なのでした。

規律に忠実な慮凌風はともかく夜市肯定派の蘇無名たちはいそいそと夜市を楽しみにお出かけ。
ここで描かれる夜市の賑わい、街の明かりなどは見ていてやっぱりワクワクする情景でした。

この堕落した役所と役人と、街で頻発している人々の失踪がやがて土地全体に関わる大きな陰謀に繋がっていく展開が面白く見応えがありました。
最初、いろんな事柄が繋がらなくてちょっと「あれ?始まりはなんだったっけ?」となりましたが、それくらい意外な展開でした。

この頃になると、慮蘇二人の黙契(暗黙の了解)も随分強まってきて、それも見どころで。
また、この案件では老費(費鶏師)が危険に晒されていて、珍しく焦りを隠せない師兄の蘇無名よりも冷静に慮凌風が水面下でことを進めていたのも見どころだったなと。まだ力がない場所で上司に悟られないように仲間に誹られようとも感情を抑えて計画をやり遂げたのは、シーズン1から見ている視聴者からしても感慨深いものが(笑)
まあ、ラストでしっかり師兄に恨み言を言うのを忘れてませんでしたが(笑)

このエピソードでは貸本屋で「沙斯伝」(シーズン1で登場)の書名も登場。視聴者が知ってる人名や物の名前が随所に出てきて、この世界にどっぷり浸かれる楽しさがありました。なんというか、傍観者というよりももうちょっと入り込んでる気にさせてくれるんですよね。

前任の県尉司馬亮貝勒さん)の男気が素敵で爪痕残してるなぁと。ラストは悲しいけど、美味しい役でした。そして、その腹心とも言える耆長の索龍張層層さん)も実はいい奴、使える男というのもほっこりポイント。

「上仙坊的来信」

「上仙坊からの手紙」というタイトル。これもシンプルですが奥が深い。
本質的には王道ミステリにありそうな案件だと思いました。

複数の復讐者一人ひとりが、小さな行動で殺人を分担し立証が困難(不幸な偶然が重なった事故死の可能性を確実に否定できない)。それに被害者も殺されて当然と、誰もが思える所業をしている。

“犯人不在”

どおりでなかなか推理がまとまらないわけで。

復讐者たちが受けた被害は胸糞案件で本当に腹立たしいものでしたが、それでも彼女たちの為に怒り、復讐に手を貸してくれる男性もいたことがせめてもの救いでしょうか。またその二人の男性のうちの一人は被害者の従兄弟ということもあって、土壇場でなんとか助けようとしてしまうところも、人物設計としてリアル。
この案件は現代ドラマでも全然筋が通りそうで興味深く見進めることができました。でもちゃんと唐代の世界観ともマッチしていて、その辺はこのシリーズのすごいところだなと。
まあ、人の感情というのは時代とは関係ないということでしょうか。

罪は罪、というのは司法の大前提ですが、人情というものも人間の土台でもあります。落とし所が難しい案件でしたが、恩師の墓所の方角へ跪く蘇無名慮凌風のラストの会話で、各方面への配慮?もされてるのかな、なんて思ったり。

それにしても被害者の李雲。スゴイモテ男やな。

「供養人」

”単元版”では見られませんでしたが、慮凌風は都からの命で、康国からの貢物である金桃を受け取り、そして無事に長安まで届ける役目を仰せつかったようで、一行は敦煌沙洲へ。
また勉学の為慮凌風たちと離れていた薛環も合流したようです。

敦煌ってロマンありますよね。
一行は敦煌で、利発で愛嬌のある少年多宝と出会い、彼の案内で美しい壁画で彩られた石窟を見学しますが、その壁画など、また長安とは違った美術の美しさを楽しむことができました。

沙洲へ到着した一行を迎え入れて宴でもてなしたのが、この地域の商人のトップで富豪の曹仲達ですが、そこで曹仲達の幼い息子が死体で発見されるというのが事件の始まり。
またその息子とは敦煌で出会った多宝だったことに一行は驚きます。

このエピソードの土台とも言えるのが“花甲葬”という風習。中国語で「花甲」は還暦と同じで数え年で60歳になることで、つまりは唐代敦煌版「姥捨山」のようなものらしいです。
この時代でも流石にこの風習は必要ないと多くの人に考えられたものの、この家では家格の為に止めることができないという話。実は宴の翌日は曹仲達の60歳の誕生日で、一行が見学した石窟へ入ることになっているというのでした。

当主が“花甲葬”を迎える家が、莫大な財産を持つ家であれば、残された家族にどんなことがおこるかというと想像通り、遺産相続でドロドロの醜い争いが起こるわけで。

この話、多宝のキャスティングがめちゃくちゃ効いてると思いました(姜瑞霖くん)。
確か「蔵海伝」の主人公稚奴肖戦さん)の子供時代を演じた俳優さんですよね?賢そうで、綺麗なお顔立ちで、笑顔の朗らかさがなんとも可愛い。
だからこそ亡くなった後、彼が子供ながらにノートに残した自分の決意というのを聞かされるあのシーンは泣けてしょうがなかったです(またここでも泣かされた私。でもこれはねぇ、泣いた人多いと思いますよ)。

そして曹仲達多宝に対する思いもまた泣けるんですよ。
実は多宝曹仲達の実子ではないのですが、腹黒い実の両親から、なんでこんなに天使みたいな子が生まれたのかと思ってしまうんですよね。曹仲達の”亡くなった第一子と統合した”という話も頷けてしまう。

これは本当に泣かされました。

あと印象に残ったのは曹仲達の長女曹音の娘曹賽賽李智默ちゃん)の声と喋り方がめちゃくちゃ可愛くて!(父親李赤はとんでもないですが!!)

そしてカルチャー的なことで印象に残ったのは”酥山”という氷菓(アイスクリームっぽい)。花や干し葡萄などでデコレーションした可愛らしいデザート。
こんな愛らしいお菓子が犯行に使われるなんて…李赤め!(賀剛さん。好演でした)

全体を通して

全ての点でクオリティが高いなというのが改めての印象ですが、特に事件の内容が、単なる欲による殺人というだけでなく、複雑な人情、感情が描かれていて、各事件の登場人物の人生の描き方も丁寧で、思い入れも湧きやすいところが本当に良いなと思います。

加えて、メインのキャラたちの成長、失敗や欠点も同時に描かれていて、こちらもリアリティがあり、親しみも持てて引き込まれるポイントかなと。

特に成長が分かりやすいのは慮凌風で、ちょっとずつ丸くなってきたのがわかります(笑)
もちろん他のキャラもみんな完璧ではないけど、みんなで協力しあってひとつずつ困難を乗り越えていって其々が成長しているし、年齢の開きもあるから本当に家族みたいで微笑ましいです。

ビジュアルに関して、細かくてどうでもいい話

この時代の男の人、萌え袖なのがかわいいなぁといつも目がいってしまいます。
そして急いだり、階段を登る時に袍のスカート(?)部分を手で持ち上げる仕草が好き。
あと、刀を体の前で抱きかかえるようにして(腕を組んでる)持ってるのも、なんか好き。

この辺は今後も目で追っていきたいです(なんの宣言?)

あとチラッと前作(1)の映像を見たら、蘇無名のカツラが前はえらく後ろにズレてた(おでこが広い)んだなと思いまして。本作からはずいぶん前にしたようで。確かにこの方がバランス良いかも。いや、びっくりしたw (よく見たらみんな若干後ろ気味だったかも。カツラってちょっと深く被る気味の方がバランスいいですよね)

まとめ

いやぁ、長々と語ってしまいました。
情報量が多くて、思うこともいっぱいあって。
でものめり込んで楽しむことができました。

それぞれの事件の内容ももちろん、蘇無名慮凌風の二人が命を狙われているというのが、随所に表れている(東宮を表す証拠があったり)という方面の話もこれから見どころです。一体誰の意向か?というのは先へ持ち越しですかね。これからも注目です。

…と言いつつ、実は「3」にあたる「唐朝詭事録之長安」もすでに視聴済みなので、また熱い想い(?)を改めてしたためたいと思います。

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