YouTube 愛奇芸東方奇幻チャンネルにて「唐朝詭事録之長安」(2025)を見終わりました。
全40話。
(ビジュアル、その他情報はこちら→百度百科)
結局2025年の後半は「唐朝詭事録」一色だった、わたくしの中国ドラマライフ。
こちら、唐を舞台に老練×若者の正反対バディが奇怪な事件を次々解き明かす怪談風味のサスペンスとなっています。
「唐朝詭事録」シリーズ:シーズン3となる本作が配信開始された11月初めからYouTubeで追いかけていたところ、7話からジオブロがかかったのは想定通りでしたが、14話からまた更新が始まり、結局最終話までフルで視聴することができました。
ありがとう愛奇芸東方奇幻チャンネル。(1日1話更新で数日間の限定公開だったようです)
ということで、7〜13話にあたる部分はわたくしお馴染みの”単元版(エピソード単位で編集されたバージョンの動画。私が勝手にそう呼んでます)”での視聴でしたが、なんとか見ることができました。
(そして6話はほんの一瞬の公開でしたが、おそらく間違いだったんだろうなぁと。私はすぐ食い付いたw ので見られたけど)
こんなにサクサク制作・公開が進んで、しかもクオリティが全く落ちないなんて、凄い作品だなぁと思います。
お気に入りの作品に出会えて良かった!!
主なキャスト
盧凌風(范陽盧氏出身。寒州雲鼎県県尉。元金吾衛中郎将。元大理寺少卿。長槍と横刀を得意とする非常に優れた武芸者。太子(現天子)の伴読(王室の子弟に付き添って勉強する役目)だった。狄仁傑の弟子で蘇無名の師弟。実は公主の私生児):楊旭文
蘇無名(武功蘇氏出身。盧凌風の私人主簿(=無官)。元長安県県尉。元大理寺少卿代理。狄仁傑の直弟子で優れた推理力を持つ。盧凌風の師兄。検死を得意とするが血を見ると失神してしまう体質。また優れた聴力を持つ):楊志剛
裴喜君(河東裴氏、前吏部侍郎裴堅の一人娘。蘇無名の義妹。絵を描くのが得意で人の口述だけでも似顔絵や情景を描くことができる。盧凌風の婚約者):郜思雯
櫻桃(本名は褚樱桃。武芸に長けた女侠。袖箭(暗器)と長剣を得意とする。蘇無名とは恋人関係):孫雪寧
費鶏師(本名は費英俊。薬王孫思邈の弟子で神医と称される。元は鬼市を住処としていた酒飲みで鶏肉が大好きな奇人):陳創
薛環(盧凌風の弟子。元は裴府の家僕):石悦安鑫
大長公主(天后の娘。太上皇の妹で天子の叔母。盧凌風(楊稷)の生母):岳麗娜
天子(太上皇の第三子。公主の甥):劉智揚
※肩書きは登場時に留めます。盧凌風と蘇無名は朝廷の権力争いの影響で肩書きがしょっちゅう変わります。
※狄仁傑(狄公):実在の政治家で宰相まで務めた人物ですが、捜査の神的なキャラクターとしてドラマも何作もあるようなんですよね。私は見たことがないので何も語れないのですが、名前くらいは聞いたことがある、という感じです。
本作では故人で実際には登場しませんが「狄公の弟子」という肩書きは相当なパワーワードです。
※本作では公主、天子の名前ははっきり出てきませんが、公主は武則天の娘で太上皇李旦(唐睿宗)の妹太平公主を、天子は李隆基(唐玄宗)を想定しているそうです(あ、でもどこかで天子の名前は”隆基”というのが出てきたかも)。
印象に残ったところ(概要的なこと)
唐を舞台とした世界観の作り込みの素晴らしさ、各エピソードの内容の濃さ、推理の複雑さ、アクションシーンの迫力やオリジナリティの高いアクションの組み立て、などの本作の概要的な良さというのは前作からクオリティが下がらず、というかさらにパワーアップの感があり、もちろん”原班人馬”(オリジナルキャストの続投)もかなりポイントが高いですし、その辺は前作「唐朝詭事録之西行」の感想記事で褒めちぎった内容と重なりますので本記事では省略します。
なんせ、両方を並行して視聴していたもので(笑)
↓褒めちぎった「唐朝詭事録之西行」の感想記事w
印象に残ったところ(内容について具体的に)
あらすじは書きません(書けません)が、それぞれのエピソードについて具体的に思ったことや感想を、今回もつらつらと書いてみたいと思います。
※こちらの項目はネタバレを気にせず語ります。ご注意ください。

康国的金桃
前作ラストのエピソード(「供養人」)の続きで、盧凌風一行は沙洲で受け取った康国の金桃を無事に長安まで運んできたところからスタート。
この桃、皇族方でも滅多に食べられないくらいの貴重で絶品の桃。
しかしこの桃を食べた者が巨大な凶鳥に襲われるという事件が発生。
また、公主府の者だけは桃を食べても襲われないといったことがわかり、黒幕は公主かという疑いは避けられず…といった始まりでした。
このエピソードは市井の事件ではなく、天子、公主など朝廷絡みの案件となっていますが、初めに前作で大きな疑問を残した”誰が盧凌風、蘇無名の命を狙っているのか?”問題に触れられました。
まず崔相(公主側)が蘇無名がまだ生きていることで”しくじった”と怒り、自分の宰相の座が危ういと危惧しています。公主は長安を出る蘇無名に”私が即位した暁には宰相だ”と言っていました。
また楊内侍が慮凌風が生きて長安に戻ったことに苦い顔。
そして陸仝、陸大将軍は蘇無名の命を奪おうと刺客を送ったと明言(慮凌風を陥れようとしたと認識している為)。この人、わかりやすくキッパリした人ですよね。
慮凌風は自分の命を狙っているのが天子かもしれない(刺客への指令書が”東宮”専用の用紙だった)とかなりショックを受けていて実際に尋ねていますが、天子はすでに亡くなった白衫(東宮舎人)の仕業だろうとその場を取りなすかのように振る舞うものの、そのとき動揺した内侍の来福(楊内侍の部下で義子)に後々探りを入れていました。
→ということは天子の意図ではなかったのかな、と見ている私も一安心。
この巨大な凶鳥は二頭現れており、一頭は確かに鳥ですが、もう一頭は人間の顔をしており、しかもその顔がシリーズ第1作「甘棠駅」で登場した劉兄弟(のうちの誰か)で、びっくり!恐い!
「唐朝詭事録」ワールド、どんどん広がってます!(笑)
でも劉兄弟を演じられた周駿超さん、好演だったと印象に残っていたのでまた出演チャンスがあって良かった。
このエピソードは事件の捜査はもちろん、譲位したもののまだ若干の力を残す太上皇と新天子、公主の権力争いがベースにあり、また慮凌風は公主の子ということが一部界隈では結構知れ渡ってるために、それを利用したい人、逆に厄介ごとから守りたい人などが顕になって、そういうところも見どころだと思いました。
陸仝は慮凌風の力量、忠誠心を高く評価していて金吾衛中郎将に戻そうと必死に働きかけるし、蘇無名はとにかく慮凌風の将来を考えて、天子に対して少しの落ち度もないように矢面に立って捜査を引き受けようとするしで、胸熱でした(何の肩書きもないのに)。師兄というか、もはや親がわりみたいだなと。
慮凌風は真面目で一本気で忠誠心が揺るぎないけど(対天子)、そういう人こそ実の親(対公主)への孝行心もまた揺るぎなく、本人も官界での立ち回りがまるで下手なので(というか気にしてない?)、危なっかしい。そこを蘇無名がしっかりフォローしているんですね。また元吏部侍郎の娘である裴喜君も要所々々で適切にアドバイスしているし。
まあ、考えてみれば慮凌風、蘇無名たち6人(この人たちをなんて呼んだらいいんだろう)は身寄りのない(に等しい)人たちなんだけど、もはやこの6人が家族のようになっています。
結局はある一族によるクーデターだったという話ですが、大きな猛禽類が康国の金桃を食べた人だけを襲う事件が、まさかクーデターの一環だとは誰も思わないですよね。しかも鳥人の方はシーズン1で登場し、処刑されたはずの犯人の顔をしてるし。こういうところがこの唐詭シリーズのキャッチーなところだなと思いました。
そして、クライマックスの慮凌風の”一騎当千を文字通りまんまやった”とも言えるアクションシーンもこれまた見応えがありました。
また、この事件を受けて功も罪もある慮凌風、蘇無名の処遇について天子が下した決定は、慮凌風は雍州府司法参軍に、蘇無名については捜査のために急遽設けられた”雍州府刑獄博士”という謎の役職を続けても良いとのこと。
(雍州は非常に広大で、さらに都である長安城も含んだそうで、司法参軍はそれほど高位ではないにしろ重要な職ではあるようです)
…事件自体にほとんど触れなくても、一つ目のエピソードの感想がこのボリューム(笑)
相変わらず”出し惜しみなし、力加減、容赦無し(絶賛してます)”の「唐朝詭事録」シリーズ。
ピンポイントネタ
○公主は四人の子どもの中で慮凌風を一番買ってると。で、李姓を名乗れと。李凌風って、どう?(あんま差がない)
○陰陽商人とかいう”死体を商う”商い。怖すぎる。
○慮凌風の対公主でいざというときの「娘」呼びw
初めて口にした時には、後で「言ってしまった…」と呆然としてたのに、もうすっかりいざという時の切り札みたいになってるのが面白い。

成佛寺的哭声
前作「西行」で登場した成佛寺の「降魔変」(仏壁画)がまたまた登場。懐かしい!これだから、唐詭シリーズは順番に見なきゃなんですよね。
でも埃と蜘蛛の巣まみれですっかり忘れ去られた様子。時間経過が感じられますねぇ。
今回はこの仏壁画がある大仏殿で、夜な夜な女たちのすすり泣く声がするという怪異から始まります。
僧侶たちがこういう怪異に対して凄くビビリなのが意外でした。民たちをなだめる側じゃないのか?なんて思っちゃいます。
しかも「降魔変」を覆う蜘蛛の巣が魔物を封じ込めるなんて本気で信じてるのが可笑しい。
この頃、巷では天后復活の噂が広がり、またある娘が”天后の若い頃そっくり”と人々の注目を集めていました。これは生まれ変わりなのか?って感じですね。
ということで、ざっくり言ってしまうと”天后の若い頃そっくり”というだけで散々な目にあってしまう娘の物語みたいな感じでした。
一見関係なさそうな冒頭の怪異も、結局はこの舞陽という娘に関わりがあるんですね。
このエピソードも意外な展開で楽しめました。
ところで舞陽役の俳優さん(馬凡丁さん)、可愛いな〜どこで見たっけ?と思ったら、「愛なんて、ただそれだけのこと」のインフルエンサーの子か!と納得。古装だと全然雰囲気変わるからわからなかった〜。
それに阿木(辺程さん)、キレイな若い俳優さんだと思ったら、やっぱりただの”ごみ回収や”じゃなかったよねとこちらも納得。
ラスト、若い二人の新しい門出を司法参軍として慮凌風らしく送り出し、”ええ話”で終わりかと思いきや、まだまだ世話を焼く気満々で後を追う赤英母さん。あんたから逃げたんや(笑)
でもまあ、母も娘も今までとは少し違うよね。そしてお母さんの後を追った獅子舞親方夏勝(王崗さん)と慮凌風の粋な計らいでほっこりするオチに。
本エピソードでは”つよつよ母”赤英を演じられた楊昆さんがすごく印象に残りました。あと韓棟さん(沈空役)って、やっぱりキレイだなと。暴力振るわれて「顔は止めて!顔は止めて!」ってキレイじゃないと言えないから。
ピンポイントメモ
○櫻桃、雍州府暗探(密偵)として採用される。おめでとう。
○慮凌風発案の流動公堂って面白い。自ら仕事を取りに行くスタイル。
○薛環、雍州府耆長就任おめでとう。
○天后の名前が出た時に「おまえさんのお婆さん(に似てるのか)?」と慮凌風に聞く老費オモロイ。
○蘇無名は雍州府暗探總監に。結果、慮蘇チーム6人中4人が雍州府勤務となる。流れ者だった頃を考えると感慨深い。
白澤的踪迹
”明君の時代に現れる”という瑞獣白澤を見たというものが現れ、慮凌風が終南山へ見に行く羽目になるが、そこへ金吾衛(天子側)や公主府の人間もメンバーに捻じ込まれ、露骨に権力争いの場に、というエピソード。また本当に瑞獣白澤なるものは存在するのか?と言う疑問も。
雍州府に命ぜられた白澤探しは当然慮凌風に。
メンバー選びも慮凌風に任され、蘇無名は深刻に捉えずにみんなで山遊びにでも出かけると思えばいいというが、慮凌風本人は嫌がっていて、その理由が“白澤などいるはずがないのに、見つけられなかったら司法参軍として能無しになるから”で、蘇無名が“それは司法参軍の職務とはなんにも関係ない。白澤を見つけるのは運だけの話にすぎない。これは民心の安定のためにもなることだ”といい、喜君も“この終南山行きでは君子の風格を全然損なわない”と言ったら、老費も“全然損なわない。もう、超〜損なわない”と加勢。
子供をなだめてるみたいで面白い。
そして樱桃と薛環には何の話か分からない、というのもまた可愛い。
けど、こんな風にみんなが言うので慮凌風は”それなら”と行く気になるのも可愛い。
脇キャラじゃなくて男主のこういうところが描かれるのも面白いし、こういうシーンが家族っぽいなぁと。
ただ、多方面からの思惑で結局メンバーは金吾衛(天子側)と公主府の人間とガイドと蘇無名という風になってしまうものの、慮凌風もやるならやるで、内輪揉めを必死で止めたり(すぐに決闘するメンツなので命懸け)、時には頭を下げたりしてなんとかまとめようとするしで、リーダーの責を果たそうとするところは偉い。
結局は上官婉児(昭容)の義子、李(上官)奈児が義母の仇討ちのために、白澤の噂で天子を終南山へおびき寄せて亡き者にしようとしたが本人は来なかった為、実行犯としての仇と恨む金吾衛を手に掛けた、という事件。
ただ、李奈児は公主府の典軍の為、真実を報告すると天子と公主の争いが更に激化すると判断し、凶獣に殺されたと報告。これは蘇無名の巧みな話術があってこそできたことですが。
天子も完全に信じたわけではないけど、蘇無名の報告には一切の破綻がない上に、天子の面子までも立てているため、追求することができないという顛末でした。
このオチの付け方、普通に上手いなぁと。
でもまあ、ざっくり今回の責任は白澤が出現したと奏上した雍州府長史杜銘にあると思いますが。
またこの件について、母親の意図したことだったのかが気になって仕方ない慮凌風。
結局は李(上官)奈児の独断だったみたいですが、彼女の採用は崔相の采配だったらしいので、公主の怒りをかってはいたものの、どこまで彼が知っていたか、意図していたかは謎?
公主も慮凌風から「隠居してください」と頭を下げられても激怒するでもなく「母は老いたか?」と返す。考えてみれば、一族どころか“家族”みんなが皇帝になってる境遇の人。真剣に玉座を望むのも彼女からしてみれば当然のことなのかも。上官婉児と共に唐を復活させた自負があるならなおさらだし、確かに力量はあるのかも。
でも太平公主のラストはもう決まってるし…。
このドラマではどこまでするのか?また史実とは別とするのか?この先も気になるところです。
ピンポイント感想
○もうほとんど、慮凌風が公主の息子っていうのが周知の事実になってるのが可笑しい。こういう噂は早いでしょうねぇ。
○それにしても金吾衛の面々はやっぱりちょっと偉そう。以前の慮凌風の高慢ちきな感じも、金吾衛では別に普通だったのかも。
○慮凌風に『蘇無名何在』と呼ばれた蘇無名。「はいはい」と応えつつも「その言葉、妙に耳馴染みがあるな」と蘇無名。
この言葉、何気なくこのシリーズの名物になってる?(笑)

諾皐記
喜君の発案で『六合酥山店』というアレンジカキ氷的なスイーツ店をオープンさせることに。
喜君が出資し、老板は老費。
”酥山”は前作「西行」ラストの「供養人」で登場した敦煌の氷菓。やっぱりシリーズを順に見るの推奨ですね。
このエピソードは市井の事件。
妻の浮気を疑う孟不疑という下級役人の男の家で、見ず知らずの男の死体が発見されると同時に、妻も行方不明になるところから始まりました。
また”寄居郎”と自称する、他人の留守宅で寝床を勝手に使って休むという輩が知らない間に自宅に出入りしていたり、浮気相手と疑っているかつての同窓生顔君羨は召使にやたら気を遣っていたり、小遣い稼ぎの浮気調査で妻の別の浮気相手と思しき男から依頼を受けたり…とにかく状況がかなり混乱していることがわかります。
この孟不疑って、出世とも縁遠そうだし一見地味で冴えないけど、流石進士だけあって一筋縄ではいかないキャラというのが面白いです。捜査陣を翻弄するのも見どころでした。
また妻の紅葯は以前平康坊で人気の琵琶弾きだっただけあって、華やかな美人であったことから、彼女をめぐって男たちが法廷でみっともない喧嘩を繰り広げるところも面白い。
結局は夫の孟不疑的には夫婦の不和という程度の日常に過ぎなかったのに、妻の紅葯的には仇討ち(しかも二人分)という野望を抱えていたため、大ごとに発展していったという話でした。
なので、最初は夫婦の不和が発端みたいな話なのに、途中から真相がわかって本当に相手を思い合う夫婦という風に見え方が変わっていって、泣ける話に変わりました(また泣かされた私)。
取り調べを受けた際の証言で、孟不疑と紅葯の夫婦喧嘩(部屋の中に顔君羨と張三(死体で発見された男)が隠れてる)があるんですが、実はふたパターンの映像があって、取り調べ初期の証言だった一つ目は言葉の字面どおりの夫婦喧嘩ですが、終盤の真相がわかってからの、実は相手を思いやっての裏の思いを秘めつつの喧嘩のシーンというのが再現されて、これが泣けました。
そして真相が明らかになった公堂でお互いを思い遣って自分が罪を被ろうとする二人の言葉にもまた泣けました(ずっと泣いてるやん)。最終的にはこの夫婦がハッピーエンドで良かった。
演じられたこのお二人(孟不疑:李暁川さん、紅葯:許齢月さん)、素晴らしかったです。
それにしても孟不疑、実は色々器用で有能な人だと判明。賄賂を使ってまで出世という気がないというだけで、結果的に家族孝行ができる道に進めたのは良かったのかも。
ピンポイントメモ
○捜査の始まりで慮凌風と蘇無名の懐かしいやり取り(S1の最初の事件現場の初めての会話!)
慮「やっと来たか」
蘇「私の馬は…遅いので」
○明石(顔君羨の召使…のふりをしているが、正体は”血滴”という刺客組織に属する烽火燎城という通り名の刺客(元)。実は主従が逆)がずっと薄荷の葉っぱを噛んでるの、面白い。今でいうミントタブレットみたいな感覚かな。
○「刺花(花の入れ墨)」の固定の仕方が理にかなってて感心。刺し手の立て膝に、される方が肘をついて顔を固定し、その肘に刺し手が手を乗せて固定。寝転んではしないのね。
ここでも上官婉児の逸話。
○喜君ってもう、似顔絵捜査官だよね。紅葯のお父さんの肖像のくだりも泣けた。

旗亭画壁
蘇無名の情報網から刺客組織“血滴”の墨影幽焰という刺客の情報を得る。先の事件で死亡した烽火燎城(薄荷好き)よりも残忍とのこと。
ということで、密かな調査のため”出張出店”として六合酥山店(6人総出)で出かけた先のお話。
詩が大好きなある料理店の主人が当代の名高い詩人を招いて宴を催し、その席で詩人たちが歌姫に読まれる歌の数を競うというなんとも風流なエピソードでした。
ここで登場したのが、シーズン1「石橋図」の詩人、冷籍(姬晨牧さん。もちろんS1からの続投)。慮凌風との再会のシーンはグッとくるものが。
こうやって”視聴者が知ってる人”がちょこちょこ登場するのって、視聴者を”ただの傍観者”にしない感じですごく好きです。この画面の中の世界観にも臨場感が出るというか。
冷籍、とても情が深い人でした。そういえば前作からちゃんとそういう人物像でしたね。
このエピソード、事件ではあるけど印象としては風流の極みでした。元々ある故事なのかな?
この話も話が意外な方へ展開して、面白かったです。阮老板、めちゃいい人で報われて良かったぁ。ほっこりしました。
去天尺五
長安城内で連続殺人事件が発生。凶器は規制品ではない鈍器で、被害者は商人であることがわかってくる…。
長安城は非常に広大であるため、行政管理のために城内を南北に走る幹線道路”朱雀街”を境として東側を万年県、西側を長安県としたそうです。
で登場するのが長安県尉韋韬、万年県尉杜玉というふたりの県尉、名門士族です。
このエピソード、タイトルは「去天尺五」なのですが、こちらは「城南韋杜 去天尺五」という中国の諺から来ているらしく、この言葉は隋代の『辛氏三秦記』に記載されているものなのだそう。
意味としては「長安城南の韋氏・杜氏は天(子)から1尺5寸(約45cm)しか離れていない」というようなことらしく、”距離的にも権力的にも非常に天子に近い”ことを表しているとか。
文学的な素養を要求されるタイトルで、外国人の私は一苦労…(まあ、国内ものでもよく知らないけど)
ということで、このタイトルを踏まえ(?)、その韋氏・杜氏一族である韋韬、杜玉が中心となってくる話になります。
このエピソード、なかなかに重い話でした。
祖先の栄光や受け継いだ伝統と血筋に非常に誇りを持つ士族と、台頭してきた商人たちとの軋轢というものが、この事件のベースになっていました。
士族と商人、どちらも力を持つ者たち。でも商人は誰でもチャンスがあるけど、士族は生まれ持ったもの。
本作では商人と結婚した士族の令嬢が自分を恥じるほど後悔したり、士族に生まれたものの商人となった人が先祖に泣いて謝ったりと、なかなかの“差別”具合が描かれました。
まあ、当時の商人の中には教養も品性もない者も多かったのかもしれないですが、士族も”自分たちこそが国の礎”など極端な理論だったり(李姓にすら敬いがない人も)するのも、なかなかバランスを欠いた思想だなと。
誇りや矜持というのは時に自分を奮い立たせるものでもあるだろうけど、別に他人に誇示するものではないですよね。結局、全体があっての”個”なのだから、誰か、何かを下に見るのはおかしいと。
士族の少々嫌味なところもいくつか描かれましたが、その一方で、韋韬の妻である橘娘に鍼術の心得があったり、武術の嗜みがあるというのは”家学”というものがある士族の強み。被害にあった商人たちの卑劣さも考えてみると、どちらがどうとは言い切れないのはリアルなところでした。
志と技術は生まれに関係ないけど、物心付く前から何かしらを身につけられるというのも、これまた強み。一概に“どうするべき、どうあるべき”と言い切れないのが難しいところですね。
結局、現代でもそうだと思うんですけど”属性”というものにあんまり囚われすぎるのはトラブルの元なんだなと思いました。
この場合、士族であることに誇りを持つことでメリットも勿論あるけど、それで排他的になったり、他の属性を見下したり、というのももれなく付いてくる現象だと思うので。
また商人側から見ても、士族の特権などについて、必要以上に敵視するということも生まれてきたり…。
またこの構図、この事件の当事者たちだけでなく慮凌風、蘇無名も全く無関係とは言えない問題で、なかなか考えさせられるものでした。
また一方で、士族の邸宅から鬼市まで自由に出入りする老費、費鶏師という存在もあったり。公主から賜った”大唐鶏公金牌”を持ち、金の徳利(スキットル?)を下げて自由気ままな人生を謳歌する老費という存在も面白い対比だと思いました。
私は老費ポジションに憧れるなぁ(まあ神スキルがあってのことなのですが)。
そしてこのエピソードの真相は、なかなかエグい事件、そして泣ける結末でした⋯。
ピンポイントメモ
○小楊稷も再登場!ちょっと大きくなったねぇ。
○慮凌風が奏上した西行記(前作の内容の報告)で、前作に登場した独孤仵作の事件で天子に”この職業について配慮されるべき”と言わしめたのはほんとに報われる思い…。
○韋韬の扱い、しっかりめの回想シーンがあったりと、なんか扱い良すぎると思ってたら、なんとスピンオフ(?)のショートドラマまで出来てた模様。
○蘇無名万年県尉就任、おめでとう。これで長安城コンプ!(?)

借齢者
”道に落ちている赤い巾着を拾ってはいけない…”
現実でも数年前にSNSでバズった”道に落ちている赤いポチ袋(封筒)を拾ってはいけない”という話がありましたね。まあ、そういう方面の風習が関わってくるお話です。
前エピソードで天子が注目したお陰か、”仵作大赛(検死官コンテスト)”が開催されることに。
この大会の上位3人が色々良い待遇になるとのことらしいですが、なんかツッコミどころ満載ですよね。
上位3人だけじゃなくて、仵作の仕事自体を資格制などの公的なものにして、賤民待遇を辞めて、職業選択の自由を与えればいいだけなのに、そういう発想はないんかいな。それとも、それは良すぎと思ってるのか。
とにかくそういうことで、このエピソードでは仵作が大勢登場!
中には”ご先祖が士族”だった仵作もいたりして、仵作といっても色々なんだなと。
そして非常に酷い待遇で働いている仵作たちが上位3人に入りたいと思うのは当然のことで、そんな中で不可解な殺人事件が次々と起こるという話でした。
この話、見終わってちょっと引っかかったのは、なんで老仵作耿無傷は二人の男弟子をそれぞれあんなふうに扱ったのかということ。
殺人を犯したことを知っていて鐘士載を受け入れた。文武両道と褒めて、対外的にも推薦していたのに、後から狡猾な奴だと言ってみたり、挙げ句の果てには殺人を犯した者は仵作にふさわしくないと破門。
そして勉強したいと言った二番弟子殷腰には読み書きをさせず、さらに兄弟子贔屓によって拗ねさせた。でも才能があるのは認めており、彼考案の手法も自ら取り入れている。
因みに義理の娘酥蝉には読み書きをさせている。…どういう思惑?
結局これが原因で今回の事件は起こったようなものですよね。
耿無傷は仵作界の権威的な描かれ方をしているので、この不公平さにはちょっと疑問が起きました。
また鐘士載の奴籍身分もかなり気の毒(仵作の賤民よりも下位)で、これって本人的にはどうしようもないというのがやりきれないですね。
こういう人がそこそこ頭が良くて、優秀だった時に、どう這い上がっていけるか、という方法がないなら、やっぱりこういうことは起こりうるのではないかと。
なんだかなぁな気分になる事件でしたが、ここでまた新たに女性仵作誕生というのが明るい話。酥蝉も経験を積むにつれ、前作「仵作之死」の母仵作曹慧を彷彿とさせる同じ文言での臨場で、良かったなぁと思えます。
また経験不足で心細がる酥蝉に樱桃が”他にも女性仵作はいるから、あなた一人じゃないよ”と勇気付けたのもほっこり。
そして、そんなこんなで結局コンテストは取りやめに。言わんこっちゃない(笑)
ピンポイントメモ
○預訂郎→予約屋?口利き屋?また新しい職業。
殮容師→死者に化粧をするメイクアップアーティスト。こちらは殷腰の廃業により消滅。
○馬銭子(ストリキニーネ)。猛毒の名前(少量なら薬)。押さえときましょう。又出ます(笑)。
○殷腰の化粧の前の”舞い”の儀式が独特過ぎて(笑)
みんな、よく笑わずに泣きの芝居ができるなぁと変なところで感心しました。
でもこのドラマ、時代考証もしっかりしてるらしいから、こういう風習もあったのかな、なんて。
盛世馬球
唐主催の各国チームを招いての馬球大赛(大会)を描いたエピソード。4年に一度とのことなのでオリンピック的な感じでしょうか?”馬球”はポロのようなスポーツです。
またそのタイミングで盔勒のスパイが密かに入国し、すでに潜入済みのスパイとコンタクトを取るとの情報があり、馬球大赛のタイミングと重なることもあって、朝廷に緊張が走ります。
ということで、盔勒のスパイによる陰謀を追いかけ、阻止しつつ、つつがなく無事に馬球大赛を運営させるという内容で、スリルもあるし、シンプルに楽しめました。
クライマックスは大会の決勝戦(盔勒vs唐)なのですが、ラストのエピソードに相応しく、盛り上がりましたね。こういうスポーツの試合みたいなエピソードは普通に見入ってしまいます。あんなふうに馬を自在に操ってスポーツするなんて、本当に尊敬します。見惚れてしまいました。
また、決勝戦の後の”エキシビジョンマッチ”とも言える”天下隊(各国混合チーム)”と”大唐隊(唐チーム)”の試合中の一コマ、天子と慮凌風と納沙(盔勒可汗)の三つ巴みたいな瞬間の画が凄く良くて印象に残っています(39話の予告にも使われてました)。
あれって合成ですか?実際にはかなり難しいですよね?でもある程度、それに近いことは実際やらなきゃですよね。あれ、凄くいいわぁ。デスクトップにしたい(笑)
ピンポイント感想
○白澤探しの時の金吾衛の面々は偉そうだったけど、慮凌風配下の兄弟们はみんな慮凌風に忠実で可愛いなぁ。
○裴府に来た裴勉(鴻臚寺 寺卿。喜君の叔父)が、出迎えた蘇無名と慮凌風にびっくりするのが面白い。今まで当たり前みたいに思ってたけど、よく考えたら裴府にあの6人がいるのって確かにかなりおかしな状況。
この裴勉、本作には珍しい典型的な”頑固爺さん”といった風情でしたが、悪い人ではないですし、この作品のいいスパイス的な存在だなぁと思いました。
○小楊稷が六合酥山店の2号店店員に!いよいよチーム入りか?
というか驚いたのが、演じられた楊子睿くんが蘇無名役の楊志剛さんのご子息だということ!(あんまり似てない?)いや、このシリーズ、監督の身内が多いことは知っていましたが、ここまでとは!まあ、皆んな合ってるからいいんですけどね。
○出番は少ないけど肝心なところで大きな働きをする鬼市令封泰、見るとなんかホッとする。
○ミスをした蘇無名にフォローする慮凌風との会話は、前に逆の立場で交わした会話の繰り返し。こういうちょっとした“遊び”がちょこちょこあるのが面白い。
○田挙子、めっちゃ良い人だった。絶対怪しいと思ってたのに〜。なんかごめん(笑)
全体を通して
このシリーズ、案件ごとにたくさんの人物が登場するし、なんなら後々再登場したりしてとにかくキャラが多いのですが、不思議と全然「誰だっけ?」とならないんですよね。
他のドラマだったら、これよりもっと少ないキャラでもモノによっては「誰?」ということが結構あるのですが。
作り方が上手いんだろうなと思います。
また、このドラマを見ながら、少し歴史の勉強をしました。ちょっと調べた程度ですが。
「康国的金桃」に出てくる韋庶人(これって”最終的な身分”なんですね。歴史的には”韋皇后”の方が通りが良いのかな)とか、「成佛寺的哭声」に出てくる天后に仕えた”二人の張”とか、「白澤的踪迹」に出てくる上官婉児とか…。
こういう話がさらっと出てくると「ああ、自分は外国人なんだなぁ」と思います。なので少しでも知っておくとなんのことか、ちょっとでもわかりやすくなると思いました。
勉強になるぅ。
まとめ
本作もどれも凄く面白かったですが、中でも余韻がすごかったのは「諾皐記」と「去天尺五」。
ほんとに後を引きました。
いやぁ、また長々と綴りました。自分でも途中で投げ出しそうになる程(ちょこちょこ取ってたメモがめっちゃ長かった。自業自得)。
でも本当に内容が濃くて、見ながら色んなことを思ったり、想像できたりで楽しいんですよね。
まだまだこのシリーズは続いていくようなので、楽しませてもらいたいと思います。
といいながら、この次に当たる「唐詭奇譚」も既に視聴済ですので、また改めて熱い思いを綴りたいと思います(デジャヴ?w)
《おすすめ記事》
↓前作:シーズン2の感想
↓シーズン1の感想




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