BS12で放送されていた中国ドラマ「美人骨~後編:一生一世~」を見終わりました。
全30話。
原題「一生一世」(2021)(ビジュアル・その他情報はこちら→百度百科)
前世のエピソードとなる前編「美人骨~前編:周生如故~」の続きとなる作品です。
↓前編の感想記事はこちら
結果的に良かったのは良かったんです。確実に。
ただ、感覚的にすっきりとは感動できませんでした…。
主なキャスト
周生辰(バークレー化学学院の副教授。周家の長男):任嘉倫
時宜(人気声優):白鹿
梅行(周生辰の親友の弁護士):此沙
周文川(周生辰の異母弟):駱明劼
周文幸(周文川の同母妹。先天性心疾患を患っている):王瑞欣
印象に残ったところ
「良かった」は「良かった」なんだけど、なんだろうこのすっきりしない感じは…。
素直に感動しにくい…
※以下、”ついに現世で結ばれたぁ!”とストレートに感動された方には興醒めな感想を延々と綴ります。せっかくの良い気分に水を差されたくない方はすっ飛ばしてしてくださいm(_ _)m
とにかく二人がハッピーエンドだったというのはとても良かったんです。
それを見にきたんですから。
ただ、なぜかすんなり感動に浸れませんでした。
まず一番に思うのが、この二人、人柄も条件もいいし(これ、お互いにすごい)、別に”前世がなくても”惹かれあっていたんじゃないかって思えてしまうところ。
きっかけは時宜の声かけだけど、それは直前にやった仕事絡みで奇遇だなと思ったのが理由なので。
でもそれではこの作品の意味がない。
となると、じゃあこの二人にどれほど現世で結ばれる意思があって、お互いを探し求め、結ばれようと努力するかって話になってくると思うんですが、これもはっきりしていません。
本作の男主周生辰には前世の記憶がないという設定です。
家の族譜で同じ名前の小南辰王がいたことは知っている…というか、その人からつけられた名前。そして美男で有名だった小南辰王に対して現世の周生辰は一般的な容貌(これは無理がある(笑)任嘉倫さんを我々視聴者は見てるわけですから)で一応声も違うと(これは誰も知りようがないことですが、視聴者的には声がご本人に変わってるし、前世の記憶があるっぽい時宜にはわかるのかな)。
特技も違うし、ほんとに名前と、同じ一族ということ以外の繋がりが一切ない上に、本人も特に前世というものを意識しているわけではない(小南辰王のことを知っているにも関わらず、です)。
なので周生辰的には素敵な女性と巡り会えて、生涯の伴侶とすることができた!というだけの話とも取れるわけです。
(時宜の昏睡状態中に読んだ、彼女の綴った小南辰王の物語で、何か心の中で思い出すというか”特別な意識”が目覚めたような表現は見て取れました。ですが、それってもうすでに時宜とは結ばれた後で、しかも前世が理由ではなかったですから、それほど重要ではないかと。「ああ、そういう運命だったのかな」って思うくらい?「前世の願いをやっと叶えられた!」っていうほどの感慨はないですよね)
一方女主の時宜は確固とした、漼時宜の生まれ変わりだという自覚があるとはいえないようだけど、断片的で朧げな記憶の残像っぽいものがある…のかな。
また前世の漼時宜は自尽する前に家族に累が及ばないよう漼家から籍を抜いているので、現世では時宜という名前になっている点も整合性がある。
あと、色の好き嫌いや怖いものにも漼時宜の特徴は出ているようですが、それは本人的に知る由もなく、視聴者のみにわかる点です。
そしてそんな彼女が小南辰王を描いた作品に声優として参加するという縁があった上で、同姓同名の男性と偶然巡り会った。
何事も控えめで慎重な彼女には珍しく「周生辰」という男性に、名前だけのきっかけで自分から声をかけ、積極的に関わっていく。
でも彼女も結局のところは、現代に生きる周生辰という人自体に惹かれ縁を結んだわけですが、これが漼時宜としても小南辰王 周生辰を見つけて一緒になろうとした意識もどこかで働いている…のかどうかがポイントだと思うのですが。
漼時宜だったときの記憶の残像っぽいものが彼女を後押ししているようにも見えることも多々あり、何よりも大きいのが彼女のまとめた小南辰王ノート。これって、もろに「思い出して!」って言わんばかりの行動ですよね。(でも周生辰は時宜には激甘ですから、たとえ自分に確信めいた前世の記憶というものが湧き上がらなくても、彼女を否定することはせず、話に乗ってあげるくらいのことは全然すると思うんですよね。ま、ドラマではちょっと「もしかしたら、本当にそうなのかも」って思い始めた感じは出てましたが)
でも、時宜っていつから小南辰王 周生辰を意識しだしたんだろう?出会った時にはもう意識していた?そこまでには見えなかったけど?でもあのノートは結構はっきりと生まれ変わりの自覚を持ってないと書かないだろうし…??
この点がちょっとよくわからないところでした。
(これ、原作では時宜にははっきり前世の記憶はあるらしいのですが、”あちらのお国”では「生まれ変わり、転生」は御法度ということで、ドラマでは曖昧にしたらしいという話を目にしました。それが、なんだかふわっとしてしまった原因かもしれません)
ま、どちらにせよ前世の影響で不思議な縁で自然に結ばれた、ということでもないし、逆にお互いが前世の恋人を探し求めた、ということでもない。
その中間というか、微妙なポイントというか、「片方だけか〜、片方だけが頑張ったの?ちょっと弱くない?」…とか思えてしまって、「やった〜!ついに叶ったね!」とは喜びにくいという結果に。(私個人的にですが)
基本的に前世となる前編のラストがあまりにも残酷なので、来世を描くということはちゃんと報われるんだろうというのは誰もが期待、確信しているようなものなので、その”過程の描き方”こそがキモになってくると思うのですが、そういう意味でちょっと私にはすっきりハマらなかったなと。
「来世があれば…」とかいう、よくあるアレ
よくドラマで(現実的にはあまりないだろうけど)「来世があれば一緒になろう」なんて約束したり、心に誓ったりというシーンってよくあると思うんですけど、それをちゃんと描いた作品って珍しい…というか少なくとも私は初めてでした。感動するシーンですけどね。それ自体は。
でもよく考えてみると、来世(=現世)で何か目的を果たそうとするということは前世の意識が明確に残っているということで、それって現世の本人の意識的にはどうなの?ってちょっと疑問が出てきまして。
要は”別人なの?本人なの?”という疑問ですね。
「自分は元は誰々だった」という確固たる自覚がお互いになければ、前世の誓いが成就した、とは思えないんじゃないかと思うんですよね。でも今を生きる人としての意識もあるわけですし、その意識で他の人を好きになる可能性もある。それに、なんだか不思議な縁を感じる人と、好きになった人が違ったらどうするんだ、とか、もし出会った時、すでに別の人と結婚していたらどうするんだとか、どっちかが嘘をついていないって確かめようがない、とか色々ありそうですよね。
こういうことを突っ込まれないように、かつ自然なストーリーとして成立させるのは結構難しいことなんだなと、本作で思いました。
結局あの例のセリフは”その瞬間はそれくらいの気持ちだった”ってことにすぎない、ってことなんでしょうね。
良かったところ
ストーリーで散々言いましたが、それ以外は良かったです。(ただ、ストーリーの問題はあまりにも大きいですが)
周生辰の世間ずれしてないところは可愛いし(時宜も可愛い可愛いって誰彼なしに言ってましたね)、梅行も頼もしいし、複雑で神経を使う周家にも優しい味方はたくさんいるし…前編と同じく、一見苦難の連続を覚悟しなきゃいけないストーリーかと思いきや色々ありつつも、全体のトーンとしては穏やかで落ち着いた印象の方が強かったです。
梅行が時宜に一目惚れした時、またややこしいことになるのかと心配しましたが、どうやら彼は劉子行の生まれ変わりのようで、自分の恋心には蓋をして、ひたすら周生辰に対して誠実に、粛々と贖罪を続けていたのもほっこり。(この後梅行役の此沙さんは「馭鮫記」でも任嘉倫さんと親友っぽい役をされていて、面白い縁ですね)
ただ、冒頭で散々述べた通り肝心の二人についてのエピソードが見れば見るほど???となったということで結局、私的ピークは第1話(笑)。
まずは主役2人が現代の身なりをしていることに「おおっ!」と思い、続いて「大師姐(宏暁誉)が親友なのかぁ!」とか思ったり。そんなところですかね。
まとめ
とにかく幸せになった周生辰・時宜を見届けることができて何よりでした。
それにつきますかね。
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