引っ込み思案だったり、大人しすぎることを親御さんから心配されて劇団に入れられた、なんて話はたまに耳にすることがあります。
私も昔、社会人劇団に入って舞台に立った経験があります。
経緯は以前記事に書いたことがあるのですが、自分の意思で入団しました。
実際、私も昔は「大人しい」とか「引っ込み思案」だと言われていた子供でした。
さて、劇団に入ったら何か変わったでしょうか?
結論として性質は変わらない
関西生まれの関西育ちで宝塚が身近な存在、という環境でした。
でも宝塚ファンも多いけれども、アンチもけっこう多い。
当時の私は気が弱かったのかもしれませんが、自分から宝塚好きということをわざわざ人にいうタイプではありませんでした。
「え〜!?そんなん好きなん?」とか言われると傷つくと思っていたんです。
(実際そう言われることも多いし、人がそう言われているのを見たことも、よくありました。今は風潮的に随分受け入れられるようになったかもしれませんね)
で、同じような流れで劇団に入って活動していることも自分から話をすることはまずなかったのですが、話の流れでカミングアウト(私にとってはそれくらいの感じ)すると「へ〜、すごい!」とか「人前で何かをするなんて、とても考えられない」なんて言われることが多いです。
(趣味でやっていることを面と向かって否定する人は少ないですね)
好きでやっているので凄いなんて言ってもらうことでもないですし、人前で何かをするのは、”自信満々な私を見て欲しい”という訳でもないんですけどね。
(もちろん見ていただくからには、できる限りの努力はしますが)
人間って本当に複雑
なんとなくですが、舞台に立っている人というのは、自己顕示欲の為というよりは、変身願望でやっている方も多いような気がするのです。
現にセリフがあればいくらでも喋れるけど、自分の言葉では何を喋ったらいいか分からないという人もよく見かけます。
(もちろんおしゃべり好きで賑やかな方も中にはおられますが)
思うに、普段は何事も内に秘めがちだけど、時々何かバッと発散したいこともある、それが舞台(役)だったらできる。みたいな。
自分でも知らない一面があったりするのかもしれませんし、舞台(役)でなら何か思いっきり発散(発信?)してもいい気がするのかもしれません(許される的な)。
役の間は「自分」じゃありませんしね。
そんな人は普段の引っ込み思案は何処へやら、役を演じている最中はなんだか堂々として見えますが、それが終わると元の自分。
結局、性質自体が変わるわけではないような気がします。
性質は変わらないけど、メリットはある
性質・性格が変わるわけではありませんが、メリットはいくつかあります。
擬似だけど、人生経験の幅が広くなる
お芝居などは特に、人生のいろんなシュチュエーションを実際に体験できるので、自分の人生経験よりはもっと幅広い経験が積めます。
自分だったら絶対できないこともできるし、言えるし、夢のようなシュチュエーションも体験できるわけです(笑)
(逆に地獄のような目にあうこともありますが)
ただ頭で想像するだけじゃなく、実際に人に言ってみる、言われてみることはより本物の経験に近いと思います。
そうすると、ちょっと人の立場に立って考える、という訓練はできるかもしれません。
お芝居の役は善人ばかりでもありませんから、自分がそういう役に当たったら、なぜそういうことを言うのか、やるのか、当事者の立場になるので、自分の考え方とまるで違う人についても自分のことのように考えることが日常になったりすると思います。
どんな人にもきっと言い分はありますので。
(もちろん、法に触れるような人を擁護するつもりはありませんけれども)
それは日常生活でも役立つかもしれません。
しっかりしなきゃ、と言う場面で見せかけくらいだったらできる
そして、実際の生活の中で困難な場面でもその立場を「演じているんだ」と自分に言い聞かせることで乗り切れる技は身につけたような気がします(笑)
できる秘書(風)とか、カリスマ販売員(風)とか。
あとは面接に強くなりました(笑)
「前向きで協調性があってハキハキ喋る人」は、キャラ設定としてはとても簡単(?)なのでそれは面接に活きている気がします。
まあ、だからと言って受かった直後にダラダラしてネガティブ全開にするわけにもいかないので、職場ではできるだけそのキャラを演じ続ける必要も出てくるわけですが、まあ、それは社会性の範囲内ですよね。
でも「此処一番」と言う場面には強くなるような気がしています。
ということで…
早々に結論は言っちゃいましたが、「劇団に入ったからって引っ込み思案な性格は治らないけど、ここぞという場面でそれなりに対応できるようになる」と思います。
実際私もそういう活動をするようになってから、飲食店で大きな声で店員さんを呼んだ時に家族にびっくりされたりもしました(笑)
「そんなことができるようになるなんて」とか。
また、私の小さな頃しか知らなかった親戚は、私の舞台を見て「はるちゃんじゃない」とまで言いました(笑)私だってば。
普段の私は多分、昔から変わっていないと思いますけども。
ひょんなことから、自分でも知らなかった一面が出てくることもあります。
そんな自分に出会えたら面白いですね。
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