YouTubeの「騰訊視頻(テンセントビデオ)」チャンネルにて中国ドラマ「沙海 Tomb of the Sea」(2018)を見終わりました。
全52話。
(ビジュアル、その他情報などはこちら→百度百科)
※「盗墓筆記」シリーズまとめ記事はこちら→1:概要・作品リスト編、2:キャラクター編
《ストーリーの前後関係》〜「蔵海花」→本作(「沙海」)→「重啓之极海听雷」 全体像は上記のまとめ記事をどうぞ!
タイトルからの想像通り、本作は砂漠を舞台にした盗墓もので、シリーズ作品としてのエピソードの面白さももちろんなんですが、それ以外にも、なんというか、私が昔から漠然とイメージしてた砂漠のロマンってまさにこういうの!というものを見せてもらえた印象でした。
登場人物も多く、スリリングな展開で次々と見進めてしまって、凄く楽しめた作品です!
※こちらも日本語字幕はなく、自動翻訳の日本語で視聴したので理解度7割くらいのところを、あらすじやレビューなどで情報を補って最終的に8割程度(まあ体感ですがw)で鑑賞した感想です。
主なキャスト
黎簇(成績不振の高校生。留年が決まり、父子家庭の父親とも折り合いが悪く、鬱屈した日々を送っていたが、ある夜何者かに背中を傷つけられたことにより、それを重要な鍵と見ている呉邪達に連れられ砂漠での冒険をすることになる):呉磊
呉邪(老九門呉家の通称小三爺。愛称の天真(=無邪気)さは影を潜め、成熟し落ち着いた大人となっている。本作の出来事は全て彼の画策によるものであり、自らに課せられた宿命を全うすべく宿敵汪家に戦いを挑む):秦昊
蘇難(戦闘能力が高く、荒くれ者の手下を束ねる姉御肌の少し謎めいた女性。呉邪とはお互い身分を偽って参加した一度目の古潼京(砂漠の中の遺跡)行きで出会った。実は汪家の一員で呉邪を抹殺する使命を帯びている):張萌
梁湾(黎簇の背中の傷を治療した医師。面食いで狙った男性には大胆で積極的な性格。一見、少し浮ついて見えるが、そんな彼女も生まれつき背中に鳳凰の刺青を持っているという謎めいた一面も):楊蓉
蘇万(黎簇のクラスメイトで親友。彼も留年が決定している。気が弱く、トラブルはすぐにお金で解決しようとするが(裕福な家庭の子なので)、友達思いの優しい性格):王皓軒
楊好(黎簇、蘇万の友達でなにかと3人でつるんでいる。家業の店を手伝っており、祖母と2人暮らし。威勢がよく、黎簇、蘇万はよく彼を頼っているが、それほど喧嘩が強いわけでもない):朱戬
黒眼鏡(常にサングラスをかけており謎めいた人物。戦闘能力が高く、一連の事情にも精通している様子。砂漠で立ち往生した黎簇達を守り助ける。実は宿命を果たす呉邪を守るため、彼の叔父である呉三省が手配した人物):季晨
張日山(九門協会(旧老九門)会長。不老長寿の神秘的な一族である東北張家の出身で、青年の見た目に反して実は100歳近くである。抗日時代は老九門筆頭張啓山の副官だった):張銘恩
主なキャストでもここに挙げきれないほど、とにかく登場人物が多くて、常に3パートくらいで話が進行していくので、付いていくのがちょっと大変でした 汗
印象に残っているところ
挙げきれないけど…
映像のスケールが大きくて没入感がある!
このドラマのメインの舞台は砂漠でその他、砂漠の地下にある巨大な古墓、謎の研究所施設も出てくるのですが、とにかく迫力があって楽しめます。
自分では絶対に行かないであろう場所なので、行ったらこんな風なんだ〜なんてのめり込んで見ていました。
まあ、砂地獄に沈んだり、物資を全て失って暑さや喉の渇きに苦しみながら当てもなく歩く…なんて経験は見るだけで十分ですが…。
見ている私が、ついつい必要以上に水を飲んでいたような気がしますw
色々カッコいい!
ついついシリーズ作品で唯一見たことのある「重啓」と比べてしまいますが、あちらは結構叙情的なシーンも多く、しみじみと感傷に浸れる印象が強かったのですが、それと比べるとこの「沙海」は作品を通してワイルドでカッコいい印象が強いです。
キャラたちも強くて肝が据わっていてカッコいい人が多いんですよね。強者揃いというか。
またオープニング映像もバリエーション豊富で3話ごとくらい(体感)で変わっていて、どれもカッコよかったです。
手がかかってるなぁと思って、早送りせずに毎回楽しんでいました。
シリーズ作品としての面白さがある《つながるエピソードやキャラの背景》
原作の作品世界のスケールが大きく、設定も作り込まれているので1作品だけでは描ききれないところが、シリーズ作品を次々と見ていくことでエピソードが繋がったり、キャラの背景が見えてきたりする面白さがありました。
「呉邪のお婆さん?!」とか、「小哥の赤ちゃん時代!!」とか…そういうのも楽しい。
キャラについてそれぞれ思ったこと
「重啓」と全く同じ役で出てる俳優さんもいてそれは何だか嬉しかったし、違う役で出てる俳優さんは見てるこっちの切り替えがややこしいこともありましたw(ま、時系列的にも制作時期的にもこっちの「沙海」が先なんで逆なんですけどね)
黎簇
シリーズ作品なので呉邪が主役かと思ったのですが、想像以上に黎簇のお話でした。
ま、もちろんベースは「盗墓筆記」シリーズの作品世界で、この作品の大きな出来事も呉邪が仕組んだことなので、それに乗っかってるのが黎簇のストーリーという構図だと思うんですが、黎簇と仲間達が少年から青年に成長していく過程というのがメインだなと感じました。
で、視聴していてそれが段々確信に変わっていった時(全52話中あいだの10話ほどで呉邪は出てきませんでした)、「何だそっか〜」なんてちょっと残念に思いかけたんですけど、ストーリーが進むにつれ、黎簇がいろんな試練に巻き込まれながらも死に物狂いに、時に狡猾に、様々な困難や海千山千の大人達(九門協会の面々や汪家)に立ち向かっているのを見ていると、なんとなく「若い頃の呉邪ってこんな感じだったんじゃないかな?」と思えてきて、そしたらそれはそれでアリだな〜と思えてきたのでした。(ま、シリーズのメインは呉邪が20代の頃の冒険談で、すっかり大人になった「沙海」や「重啓」はアフターストーリーの色が強いらしく、そこから遡って見ている私はかなり特殊なんですが)
実際劇中でも呉邪が「俺の若い頃に似てる」と言ったり、呉山居を訪ねた時呉邪のお婆さんも黎簇を見て「もしかして小邪の息子なの?」なんて言ったりしたので、間違った見方ではないようです。
ドラマの最初では学校の方でも振るわず、父子家庭の父親とは折り合いが悪く、よく殴られたりして無気力とも言える少年だったのが、ある夜いきなり狂気じみた人に背中を酷く傷つけられ、そこから呉邪に半ば強引に砂漠に連れて行かれたことで、生死の境を彷徨う経験の中でも仲間達を助けたり、逆境から生還することを諦めなかったりと逞しい青年に成長していく過程が、見ていて力強かったです。
どんどんカッコよくなっていくんですよね。
最終的には学校に無事戻り、試験(日本のセンター試験にあたるもの?)でも高得点を獲得し、「卒業したぞ〜!!」と大声で叫んで晴々と学校を後にするシーンが見られて何よりでした。
やればできるじゃない!…なんて思わず言いたくなったけど、人って何か一つでも自信を持つって大事だな〜と思いました。
演じられていたのは呉磊さんで、若いながらも子役からこの世界でキャリアを長く積んでいる人だというくらいはうっすら知っていたのですが、初めて作品を見ました。
やっぱり素晴らしかったです。というか、黎簇その人を見た!みたいな印象です。
いや〜、素敵でした。
呉邪
「沙海」、「重啓」という並びで見た時、結構呉邪のキャラの違いで衝撃を受けた人って多いんじゃないでしょうか?w
何というか時系列的に逆じゃないのかな?なんて思ってしまうくらい、こっち(「沙海」)の方が年上…というか凄く落ち着いて見える。(ついでにいうと、他のキャラも「重啓」の方が若く見えるんですよね。特に呉二白なんかはw)
まあ、黎簇みたいな少年を連れてるとどうしても大人感が出てしまうし、この時期、小哥と離れて呉邪自身が”落ちてる”時期だったようなやりとりも見えたりしたので、そういうことなのかなと納得していますが。
この作品のラストにも胖子に「前みたいに天真じゃないと小哥が思い出せないぞ」的なことを言われていたし(小哥は張家一族の特性で脅威の寿命だが定期的に記憶を失う)、それが元の天真さを取り戻して「重啓」の冒頭で二叔とゲームで対戦するまでになったんなら、いうことはないですねw
ということで「重啓」とはかなり違うキャラ造形だったわけですが、これが嫌かといえばそうでもない。
これはこれで素敵だなと思ったわけです。
演じられた俳優さんの持ち味によるものも大きいし、さらに言えば、「沙海」時代の呉邪、「重啓」時代の呉邪にそれぞれの俳優さんがキャスティングされたこともはまっていると思うし、それぞれに良さがあるなと思っています。(ただ、単純な興味本位で逆バージョンを見てみたいという気持ちもあるw)
演じられた秦昊さん、私は「バーニング・アイス ー無証之罪ー」しか見たことがなかったのですが、その時も素敵でしたし、この「沙海」でも一眼見て「うわ、カッコよ!」と思いましたもんw
時系列から言って“大人になった呉邪“というのをバーンと体現されてるなと感じました。
またそれとは少し違って、落ち着いて黎簇と話してる時や、雪山でしばらく蘇難と2人きりでいる時なんかはちょっと可愛い面、というか人懐っこさみたいなものが少し滲んでる気がしました。
そういうところも呉邪の魅力だと思うんですけど、呉邪って「人たらし」だよな〜とつくづく思います。いい意味で(時々故意にその魅力を使ってる節もあるだろうけど)。
そういえば、「重啓」でも黒眼鏡に「あいつは可愛いから、何か起こったときでも助ける人が現れる」みたいに言われたり、江子算にも「人(この場合は女性)を惑わせるやつ」なんて言われてたりもしました。
この「沙海」呉邪も基本はクールで渋いトーンですけど、こういう部分も少し垣間見られて良かったです。
あと、小さいことだけど「重啓」で肺を患って苦しんでる呉邪をずーっと見てたので、めちゃくちゃ元気そうな呉邪を見られて単純に嬉しいし、タバコを吸ってたら「やめて〜!!」と思わず言いたくなっちゃうのも面白かったですw
張日山
色々見たい候補があった中で「沙海」に手をつけたモチベーションがこのキャラです。
「重啓」で色々調べているときに何回か画像を見て「かっこよ!」というか「美しい!」と思ったのが副官(「老九門」)こと張日山で、そういえば演じられている張銘恩さんは、今別に見てる「河神」にも出演されてるな〜とか、「老九門」は日本語では見られそうにないからハードル高いけど「沙海」にも出てるのか〜とか、「沙海」は「重啓」と俳優さんが同じ役で出てる人が何人かいるな〜とかで「沙海」を見始めました。(長い)
このキャラも不老長寿の張家一族の出身で「実は100歳」という人なので、すごい落ち着き感と、まあ言ってみれば中身が「昔の軍人さん」なので少し古めかしくてお堅い感じがするところがクールなのと、戦闘能力が高いのと…と特殊なキャラクターというのがカッコいいです。
私、基本的にはセリフは原声(か、本人の声)押しなんですが、この張日山に限っては配音がいいよね!と思いました。「実は100歳」というところが、渋い声の方がセリフを当てられることでわかりやすく表現されてると思いました。(ご本人も耳触りの良い声をなさってはいるんですけどね。でもエンディングの花絮なんかを見てるとやっぱり声がだいぶ若いので、本当に普通に若い人みたいに見えるかも…と思いました)
無敵感が素敵なキャラでしたが女性の好み(梁湾でした)は意外w まあこれくらい押しの強い人じゃないと張日山の場合恋愛関係にもならないかもしれないから、本人がよければ…みたいな感じでしょうか。
考えてみれば、呉邪には蘇難、黎簇にも沈瓊(汪小媛)というちょっといい感じの相手がいたにも関わらず、両方とも女性が男性を助ける形で命を落としてしまっているので、ハッピーエンドになったのはこの張日山&梁湾のCPだけなんですよね。(とはいえ、このCPも張日山が並外れた長寿の為、ゆくゆくは梁湾を見送ることになってしまうのだろうけど…そう思うとやっぱり切ない。噂(?)によると張日山は200過ぎまで生きたらしいので)
とにかく、この役見たくてこの作品を見たと言っても過言じゃないですけど、結果、大満足でした!
素敵だった〜!
長くなったので後少し一言ずつの人
○王胖子…「重啓」で大好きだった王胖子が同じく陳明昊さんが演じられてると知って、それも視聴のモチベーションになりました。出番は少なかったけど、倒れている呉邪に「ロミオ〜ロミオ〜。ジュリエットよ〜」みたいに声をかけているのを見て吹き出しましたよ。ここから始まって「重啓」で炸裂したんだなw
○汪燦(汪家の人)…「重啓」で劉喪を演じた劉暢さんでした。見てて思わず「敵やったんかい!」と思っちゃいましたw これ「重啓」を先に見た人特有の感想かも。動画のコメント欄にも同志が何人かいらして「丧丧!」とかw ちなみにこっちの方が強かったです。汪家ですもんね。
○黒眼鏡…今ちょうど、BSで再放送を楽しく視聴している「紳士探偵L~魔都・上海の事件録~」ベンジャミン役の季晨さんが、全く違う役どころを好演(怪演?)されていました。「重啓」の黒眼鏡とは随分違うキャラ造形でこちらは怪しさ、年齢不詳感が良かったです。個人的にはこのタイミングで見ることができて、そういう点でも楽しめました。
まとめ
まあ、思うことは色々あって語り出したら止まらない感じですが、長くなるのでこの辺でやめておきます。
視聴後の印象は「何だか元気が出たな〜」という感じです。
みんなそれぞれパワフルでしたし(エンディングの曲の影響も大きいかと)、黎簇たちの成長やラストの呉邪の笑顔を見たら明るい気持ちになりました。
思うように外出できないこのご時世で、たっぷりと非日常感に浸らせてくれた作品でした。
見て良かったです!
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