BS12で放送されていた中国ドラマ「馭鮫記(ぎょこうき)後編:月に愛を誓う」を見終わりました。
全20話。
原題「恰似故人帰」(2022)(ビジュアル・その他情報はこちら→百度百科)
映像美で魅せるタイプのファンタジードラマ「馭鮫記」の後編です。
前編は”なるほど綺麗ね〜、可愛いね〜”とただ愛(め)でていたのですが、後編になってキャラクターたちの心情の交錯する様子にグッと引きつけられた作品でした。たびたび泣かされましたしね(笑 涙脆いタチなもんで)
自分でもこれほどハマるとは意外。
おそらく、恋愛ものの私の苦手なポイントがほとんどなく、変にイライラモヤモヤすることがなかったんだと思います。
↓前編の感想はこちら
主なキャスト
紀雲禾(万花谷護法の御霊師。心を御することに長けている):迪麗熱巴
長意(東海鮫族の王子):任嘉倫(アレン・レン)
林昊青(万花谷谷主。紀雲禾の師兄):肖順尭
汝菱(順徳仙姫)(仙師の手厚い庇護を受ける尊い身分の仙姫。天庭君主である天君の姉):郭暁婷
雪三月(元万花谷戦部統領):範楨
離殊(雪三月の元仙侍。山猫族の王子):此沙
洛錦桑(紀雲禾の仙侍。本体は南海百幻蝶):胡意旋
空明(元は仙師の一番弟子だった散仙):王子騰
仙師 寧清(天庭事実上の権力者。寒霜によって万花谷を支配する):王東
青姫(上古神鳥である青羽鸞鳥。強大な法力を持ち、その威力は計り知れない):童蕾
印象に残ったところ
ストーリーが盛り上がってきた
後半になってキャラの動きが大きく変わり、その心情が複雑に繊細に交錯する様子にグッと引きつけられました。
恋愛もので古来から定番(?)の”偽の愛想尽かし”によって関係性が大きく壊れてしまった紀雲禾と長意の繊細で微妙な心の動きや駆け引きも丁寧に描かれていて見どころでしたし、どう考えても太刀打ちできそうにない仙師や仙姫の勢力が少しずつ削がれていく様子も興味深く引きつけられました。
強大な仙師や仙姫の威力に立ち向かうべく、主役の二人のみならず、色んなキャラたちが自らの身を捧げるシーンも多く涙を誘うこともしばしば。
自分個人の夢や幸せと大義。どちらも大切なはずですが、その選択の過程もキャラそれぞれで丁寧に描かれている印象で見入ってしまいました。
やっぱりOSTの威力!
前編と変わらない4曲でオープニング、エンディングと挿入曲のポジションが入れ替わっただけの配置。
前編の、妖しげな花が咲き乱れるビビットな色彩の万花谷がメインの風景だったのとは打って変わって、後編は北淵の雪原・氷原がメインの舞台となり凍えるような寒さが印象的で、その世界観の表現として薩頂頂さんが歌う「魚躍而上」(後編オープニング曲)がメインで使われている印象ですが、その繊細さと切なさ、清らかさがとてもよく合っていると感じました。
本作、特に後編に入って愛憎の”憎”の部分が増していますが、それでもネチネチした嫌な重さを感じないのは、もちろん人物たちの心の底にある純愛なのでしょうが、その”清らかさ”を全体的な空気感で表現しているのがOSTのような気がしています。
インストでいうと、「留白是表白」(前編オープニング曲)のピアノメインのインストver.が多用されていた印象なんですが、それが清らかさと、少し寒いくらいの清々しさがありつつ決して暗くはない、といったところがよく表されていて、すごく耳に残りました。
OSTが4曲というのは比較的少ないと感じますが、作曲が全て薩頂頂さん(姑獲鳥役。後編でも少し出番がありましたね)でインストver.も含め作品全体の空気や流れというのを統一された世界観で表現できているのはすごく良いな、と思いました。
私がこういったジャンルのドラマでこれだけハマれたのはこれらOSTの魅力によるところも大きかったです。
いやぁ、どれも好き。
印象に残ったキャラ
イライラさせられるキャラが本当に少なかった印象。こういうのってストレスが全く違いますよね。ま、好き好んで見てるのは私なんですが。
※ネタバレ含みます。
長意:任嘉倫(アレン・レン)
まず第一にですけど、そもそも任嘉倫さん好きではあるんですよね、私が。
キリッとした美男なのに、母性本能をくすぐる可愛さも同時に表現されるところ、それが演技としてだけではなくて、ちゃんと見た目でも可愛いと思えるところ…が大人の俳優さんの中では結構唯一無二だと思うんですが(口元がポイントなのかな)。
なので配信当時、前編「月に君を想う」の長意の可愛いシーンをトレイラーで見た時には「これ見たい!」とは思ったものの、時間が経っていざ実際に本編で見れた時には少し気持ちも収まっていて「おお、これこれ。可愛い可愛い。けど…まあ、もう知ってるからな〜」なんて、そこ止まりになっていたのですが、後編になってすっかり別人のようになってしまった長意にすっかり惹きつけられました。
雲禾の”偽の愛想尽かし”(というか、この場合は”元々嘘だったのよ”ですが)で心身ともに深く傷つけられ、父も故郷も失って心を冷たく閉ざし、復讐だけを支えに、素直さは影を潜め皮肉な言葉を口にするようになった彼。
どれだけ雲禾が解放を望んでもそれだけは叶えず、ひたすら軟禁状態を解かない。
万花谷での純真で無邪気な様子はすっかり影を潜め別人のようですが、これ、よく考えてみると”まっすぐで一途な心”の裏返しが”頑ななまでの束縛”に表れているんですよね。
だから、思いっきりネガティブに振り切れているだけでやっぱり長意は長意なんだなと。
口とは裏腹に、どんどん生気の消えてゆく雲禾を心配そうに見る目は万花谷の時の長意のそれですし、後編では一度だけあった”糖蒜のくだり”の素直で可愛い表情が見られたのも良かったですし、恨みと愛情が葛藤しつつもどんどん心配の方が大きくなっていく心の移り変わりの様子はやはり見どころだと思いました。少しずつ目の殺気が緩んでくるような…。
そして一度雲禾を失って絶望し、奇跡の再会を果たしつつも生まれ変わった雲禾を尊重し身を引く…といった流れで、どんどん成長していく様子も魅力的でした。
可愛い長意もいいですけど、頼もしさが加わってさらに素敵です。
とにかく長意、良かった!!
髪型
ちょっと内容と外れますけど、キャラのスタイリングについて…。
本作の長意、すごく良かったです。特に髪型!!(笑)
これ、ディスってるわけではないんですけど、任嘉倫さんってめちゃくちゃイケメンですけどちょっと髪型が難しそうなところ、ありません?(私だけ?)
なんというか「どんな髪型でもバッチリ決まる!」ってタイプ”じゃない”ように見えるんですよね。(私的に「ん?!」と思ったのは「麗王別姫」、「美人骨」、そして「烈焰」…これは動いてるところを見るとそれほど違和感はなかったのですがイメージビジュアルが…)
折角の美貌ですから、ちゃんと活かされる髪型であって欲しいと思うんですけど、ハマってないと思ってるのって私だけかな〜?
それが本作の長意はほんとに良かった!!もちろんキャラ的にもというのが大前提ですけど、任嘉倫さんにもすごくお似合いでした。美しかったです。
林昊青:肖順尭
後編で特に印象に残ったのは林昊青でした。
前編ではよくある典型的な敵役ポジションって感じでしたが、後編では特に生まれ変わった雲禾(阿紀)の師匠として(というか自分の半生分の霊力を与えることで人の姿を与えた以上、”父”と言っても過言ではないかと)、大事に守り育てたというところ、とても印象に残りました。
林滄瀾の息子として、そして今は谷主として、雲禾に対して贖罪の気持ちがあったんだろうなあと。
彼も考えてみれば元々心優しい男の子だったのに、責務のために冷酷にならざるを得なかったし、心の底では雲禾を想っていても、彼女の気持ちを知っている以上それを表に出すことはできなかったし、谷主となってからはひたすら寒霜を解き万花谷を救うことだけを考え、自分の尊厳も体も投げ打って尽力したところなんて、過酷な人生だっただろうと思えます。彼個人としての幸せなことって何もなかったんじゃないかとすら思うのですが。
彼も命を落としたかに見えてなんとか一命を取り留めたものの、最後は父と同じく車椅子で過ごすこととなり、密かに彼を慕いひたすら支えてきた思語に車椅子を押される様子は、父林滄瀾と彼に仕えた卿舒の姿そのもの、といった感じがすごく印象的でした。
演じられたのは肖順尭さんで、あまり多くを語らない林昊青の静かな佇まいや眼差しがすごく印象に残る演技でした。
そのほか少しずつ…
本当に女性キャラに興味を持てない私なんですが、そんな私でもやはりヒロイン紀雲禾の迪麗熱巴さんには引き込まれましたし(ただ、私が最近見た「長歌行」のヒロイン李長歌と特徴、見せ場が結構被ってるのが残念でしたが)、雪三月&離殊のCPも見どころでしたし、青姫みたいな落ち着いた姐さんキャラもいいアクセントでしたし(チートも兼ねてたし)、小歓(離殊の侍従の一人)のおバカ具合も可愛くて癒しでした。
ピンポイントで気になったこと
・北淵の九尾狐族のスタイリングがなぜか”狐”というより”狸”に見えてしまうのは私だけ?
・それにしてもこの物語の発端、仙師 寧清の所業があまりにもお粗末過ぎてびっくり。皆もっと怒っていいと思うw 寧清がもう少ししっかりしていれば、この話、まるっとなかったかもしれないんですよね。まあただ、紀雲禾と長意の出会いもなかったわけですが。(長意はそれについて、仙姫に対してですが唯一良しとした点だと挙げていましたね。ええ子や)
・この物語の諸悪の根源朱厭って前凌霜台台主の朱凌の父だったの?!(Wikipediaより)ドラマ中、そんな話ありましたっけ?親子だとすると、朱凌って父に比べると随分パワーダウンしてません?
まとめ
とにかく見終わって「綺麗なものを見た〜」という気分にさせてもらいました。
色々眼福でしたし耳福でもありました。
良かった良かった。
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