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【中国ドラマ】「ロング・ナイト 沈黙的真相」感想:評判通りの上質な社会派ミステリー。見応えはあるけど、見ていてしんどさもある。

中国ドラマ

NHK BSプレミアムにて放送されていた中国ドラマ「ロング・ナイト 沈黙的真相」を見終わりました(ステレオ2か国語(主音声:日本語吹き替え/副音声:中国語) | 字幕放送有り)。
全12話。
原題「沈黙的真相」(2020)(ビジュアル・その他情報はこちら→百度百科

好きな俳優さん(白宇さん)が出演されているし、評判も良いし、で気になっていた作品がNHK BSプレミアムにて放送されたので見てみることにしました。
実はiQIYIのアプリ(だったかYouTubeチャンネルだったか)で頑張って見ようとしたこともあったのですが、ミステリーは言葉が難しいし、会話も速くて複雑なので”ちゃんとした日本語字幕”じゃないとわかんないな、という実感があったのと、見始めてみて「これ、結構本気で”重い”な」と思ったので、あんまり視聴が進まなかったというのもありました。

見終わって、気になってたドラマが見られたという満足感と、作品のクオリティの高さにも満足感はありましたが、事件自体の胸○ソ感(すみません汚い言葉で)と、それを正そうとする人たちがあまりにも理不尽な目に遭うというのが、見ていてどうにもやりきれなくて、あんまり気分の良いものではありませんでした。
まあ、割り切って見られるかどうかは、人によると思いますが。

やっぱり社会派作品、向いてないわ…(あと、ヒューマンドラマも。恋愛ものも向いてないし。本当に守備範囲が狭い…)

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主なキャスト

厳良(イエン・リアン)(江潭市公安局の刑事。変わり者だが過去に幾つもの難事件を解決しているため、早期解決が望まれる「地下鉄事件」特別捜査チームに招かれた):廖凡 [声:堀内賢雄]

江陽(ジアン・ヤン)(平康県の元検察官。冒頭の「地下鉄事件」でスーツケースの中から遺体で発見された):白宇[声:小野賢章]

李静(リー・ジン)張超の妻。江陽侯貴平とは大学の同級生。侯貴平が亡くなるまでは恋人関係だった):譚卓 [声:小松由佳]

張超(ジャン・チャオ)(冒頭の「地下鉄事件」で逮捕された弁護士。元は法学教授で江陽は教え子にあたる):寧理 [声:吉見一豊]

張曉倩(ジャン・シアオチエン)(江潭晩報の記者。エリート検察官から犯罪者となった江陽の取材を続けていたが、「地下鉄事件」発生によりこの事件を担当することになる。匿名の人物から事件の手がかりだという写真の断片を受け取る):黃堯[声:桑島法子]

朱偉(ジュー・ウェイ)(平康県の敏腕刑事。熱血漢で知られる。江陽の生前、彼と一緒に侯貴平事件の再調査をしていた):趙陽[声:楠大典]

陳明章(チェン・ミンジャン)侯貴平事件の際、彼を検視した平康県公安局の元監察医。事件の再調査で検視報告書を要求してきた江陽朱偉を引き合わせ、再調査に協力する):田小潔[声:森田順平]

任玥婷(レン・ユエティン)(江潭市公安局の捜査課課長。「地下鉄事件」捜査チームを率いる):呂暁霖 [声:沢城みゆき]

侯貴平(ホウ・グイピン)(平康県苗高郷の教師。大学院生の時に教育支援で赴任していた。江陽李静は同級生で李静とは恋人関係にあった。熱心で生徒思いの教師だったがその年、遺体となって発見された際、女性に暴行をはたらき、追い詰められて川で溺死したとして処理された):陸思宇[声:清水裕亮]

印象に残ったところ

※若干ネタバレ気味です。

ストーリー、時系列が複数構造になっていて凝った作りになっているものの、見ていても混乱せず理解しやすかった

男が引きずっていたスーツケースが地下鉄の荷物検査でトラブルになり、「これは爆弾だ。爆発させるぞ」と開き直った男と取り囲んだ警察で駆け引きがあったものの、最終的にはお縄になった。ところがスーツケースの中身は爆弾ではなく一人の男の死体だった…。

冒頭から緊張感のある描写で引き込まれた作品でした。

この事件を捜査していくうちに、死体で見つかった江陽という元検察官の男性がある事件を長い間再調査していたことがわかり、江陽が追っていた「侯貴平事件」の成り行き、江陽と仲間たちの再調査の成り行き、冒頭の「地下鉄事件」の捜査の成り行き、が断片的に時系列を行ったり来たりしながら描かれる、という構造になっていました。
それぞれの時間軸でいろんな人物が絡んでくるし、それぞれの事件も複雑なのですが、見ていて混乱することはなく、そこは上手く作られているな、という印象でした。

また、トータルで12話と中国ドラマにしてはかなりコンパクトなサイズ感なので無駄なくエピソードが並べられている、という感じで。

金と権力を持った凶悪な組織に立ち向かうために地位や名誉、あげく職や家族まで犠牲にしていく主人公たちが見ていて辛すぎる

そもそもこの作品の大本になっている「侯貴平事件」は、ベテラン敏腕刑事の朱偉や優秀な検察官江陽が事件に立ち向かっているのに何故、法のもと、正しい裁きがなかなか下されなかったかというと、犯罪者が金と大きな権力を持った組織であり、ことごとく証拠を隠滅し口封じをしているからなんですね。
あげく、事件を捜査する側にも社会的地位どころか命の危険すら感じさせるような反撃をしてくる…。

こういった組織のやり口などは、見ていて本当に胸◯悪いですし、こういった組織と関わっていくと自分だけでなく家族にも害が及ぶということで、誰も追求しなくなってくるのも世の常だとは思うんですが、朱偉江陽だけは諦めなかった…というかどうしてもこういった犯罪者をのさばらせておくことが許せなかったという。
周りからも「もうそこまでにしておけ」と言われたり、自分でも「そこまでする価値があるのか」と自問自答しながらも、やっぱり手を引くことができない葛藤なんかは、見ていてもかなり辛いものがありました。

朱偉も警察内部にいる組織の手先に妨害されたり、相当ひどい目に遭っていますが、なんといっても江陽が本当に人生を、命をかける羽目になってしまった(こういう表現が適当かはわかりませんが)のが、見ていて一番しんどかったです。そして演じられた白宇さん、評判通り素晴らしかったです。

元々大学院卒で前途有望なエリート検察官だったのに、たまたま同級生からある事件の再調査を依頼され、当時の彼女にも背中を押され(自分ではちょっと腰が引けていたのに)この事件に関わってしまったがために、社会的地位を失ったどころか犯罪者にまで陥れられ、家族まで失い、最後には命までかけることになってしまったその流れに引き込まれました。

特に印象に残っているのは、彼が人生の何もかも失ってしまった後、飲み会で「財布を無くした」ことでひどく取り乱してしまい泣き崩れてしまった場面と、ひょんなことから強い絆で結ばれることになった朱偉陳明章との来世の仲を誓い合いながらの最後の抱擁と、体を気遣う息子に見せる気丈な笑顔(元々明るい青年だった名残も滲んでいる愛嬌のある笑顔で)からの息子とのやりとり、です。
実は2回見たのですが、2回とも泣けてしまいました(日本語と中国語で)

他のキャストも素晴らしかったですし、朱偉趙陽さんも強烈な印象でしたが、やっぱり一番印象に残ったのは江陽白宇さんでした。
(視聴後、あまりにも気持ちが引っ張られすぎて、バランスを取るのに思わず「紳士探偵L」を覗いてしまった 笑)

あと、素朴な疑問なんですが江陽の大変な境遇を助けてくれる身内(両親とか)はいないの?と思ってしまいまして。大学院まで出るほどの江陽ですから、ある程度経済的に余裕のある家庭だったのでは?と思ってしまうのですが(まあ、両親がいなければそれに代わる人が)。
ま、経済的に余裕ありありの陳明章はそばにいましたけどね。
なんかちょっと「ん?」と思ってしまいました。

バーニング・アイスとの関連

本作は爱奇艺「迷霧劇場」のうちの一作で、「バーニング・アイス 無証之罪」「バッド・キッズ 隠秘之罪」などの原作者紫金陳さんの「長夜難明」をドラマ化した作品だそうです。

「バーニング・アイス」は私も見たことがあって、その時の主人公が厳良で、本作でも主役の刑事が厳良ということで注目していたのですが、劇中のセリフで同一人物ということがはっきり言われていました。
ただ今回厳良「バーニング・アイス」の時ほどの主役感はそれほど感じませんでした。
確かに「地下鉄事件」を追う現在のパートでは芯になっているのですが、江陽朱偉の人生が壮絶すぎて、最終的に印象に残るのはその二人かな、と。

あとは「バーニング・アイス」で亡くなった厳良の息子の東子(実は再婚相手の連れ子)のお墓参りを、本作ではしていたりもしました。

あと役的な繋がりではないんですが、「バーニング・アイス」で恐ろしいサイコパスを演じられていた寧理さんが、本作では弁護士という、まあ一般的な感性を持った人物を演じられていて、ちょっとホッとしたり(笑)。
(本当に怖かったんですよね、あの時。寧理さんは「バッド・キッズ 隠秘之罪」にも出演されているんだとか)

日本のアテレコスタイルと字幕の文字数について思うこと

いつも見ているBS11や12と違って今回はNHK BSプレミアムでの放送ということで日本語吹き替え版の放送だったため、私としては珍しい吹き替え版での視聴をしました。
でも、元々好きな白宇さん目当てで見たので彼の声で見られないのは残念だな〜と思っていたところ、2ヶ国語放送だったということに気づき、中国語音声+日本語字幕(吹き替え版の文字起こし)で2回目の視聴をしたのでした。

図らずも2ヶ国語聴き比べ、みたいな形になってしまったのですが、それをして思ったことは…
ミステリーということで、どうしても言葉足らずになりがちな中国語音声+日本語字幕よりも会話が理解しやすかったのは本当に良かったのですが、人名や地名の違和感(カタカナでのイントネーションの違い)がやっぱり馴染めないのと(まあ、これは吹き替えだとしょうがないですが)、”日本独特のアテレコスタイル”ってあるよなぁという印象が強く残りました。

この”日本のアテレコスタイル”をある種の「型」(歌舞伎の演技とか、宝塚の演技とかもある種の「型」での表現ですよね)だと捉えていうと、本作のアテレコはクオリティが高いものだったと思います。
ただ、それが中国ドラマにハマっているかというと、それはまた別の問題で…。

吹き替えになって日本に入ってくる中国ドラマはまだまだ少なくて、中国語音声+日本語字幕で視聴することがほとんどなので、中国の声優さん(もしくは俳優さんご本人)の本当に自然なアテレコ(知らなければアテレコだとは気づかないほど。ま、原声というパターンもありますが)にすっかり馴染んでしまっているこちらとしては、日本のアテレコはかなり「浮いて」聞こえます。(実はコレ、「山河令」の吹き替えをチラッと見た時にも同じ感想を持ってしまいました)

まず、声が良すぎる(良い声を作ってる?みたいな)。普段ドラマで全員が良い声ってことはないと思うんですが、そんな感じに聞こえました。舞台の発声で映像をやってるような、というか、張りのある響く声という感じの。

あと、声の演技が若干”濃い”ようにも聞こえます。”強すぎる”とでも言いましょうか。
多分、実際演じてる人から発せられるセリフって、そこまで強くも濃くもない気がするんですよね。身体全体で演技してるわけですし、声で全部表現しよう、とはならないと思うんです。
言うなれば昔ながらの「洋画吹き替え」テンションに感じる濃さ。よくギャグやモノマネにもされるような。
あれ、西洋の方に対してはまだ長年の馴染みがあるんですが、アジア人にああいうテンションでアテレコつけると、なんかちょっと違うな…と思えてしまう。

なので、声優さん一人一人の誰がどうとか、そういう話じゃないんですが、”吹き替えの演出”として、この”日本のアテレコスタイル”の「型」みたいなのは、今後もうちょっと自然に変えていったほうがいいんじゃないかと思いました。

私だけですかねぇ。

で、最終的に白宇さんの江陽白宇さんの声で堪能できてファン的には良かったなと。声も特徴があって魅力的な方なので。(もちろん他のキャストもですが)
吹き替えを見たあと、元の中国語音声に戻った時の「これこれ!」感が自分でも面白かったです。

あと、もう一ついうなら、日本語の字幕の字数制限をもう少し緩めてほしいなとも思うんですが(誰に言ってるんだか)
今回、吹き替え版の文字起こしであろう日本語字幕で視聴したのですが、意外と読めましたし、言葉数が多くて理解しやすかったんです。

多分、インターネットの普及で画面の文字を追うことが浸透してきている昨今、読むスピードも上がってると思うんですよね。字数が少ないと、どうしても言葉足らずが解決できないセリフも多々あるように思えます(ご苦労は重々承知の上ですが。いつでも規定の文字数で収め切れるとは限らないですよね)

誰に言ってるんだか、の主張でしたが、これは強く思いました。

まとめ

視聴後の気分としては重たくて、やっぱりジャンル的に向いてないなぁと痛感した作品でしたが、結末としてはなんとか報われたし、クオリティは高かったし、白宇さんも素晴らしかったしで、まあ見ることができて良かったなと思える作品でした。

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